東北地域での稲発酵粗飼料向け品種の湛水直播栽培における出穂予想マップ
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要約
東北地域での稲発酵粗飼料向け品種「べこごのみ」、「夢あおば」の湛水直播播種時期に応じた出穂予想マップを、発育予測モデルとメッシュ気温データにより作成した。地域の気象に適した作期選択、作業計画策定等、直播栽培導入の目安として活用できる。
- キーワード:稲発酵粗飼料、直播栽培、発育予測、メッシュ気温データ、作業計画
- 担当:東北農研・東北飼料イネ研究チーム
- 代表連絡先:電話0187-66-2776
- 区分:東北農業・作物(稲栽培)、共通基盤・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、東北地域において稲発酵粗飼料の生産が増加しているが、低コスト、省力の観点から直播栽培の導入が期待される。直播栽培の導入にあたっては地域の気象条件に適した品種や作期の選択、追肥や収穫等作業計画の策定が求められるが、そのためには播種時期に対応した品種の出穂期に関する情報が必要である。そこで、東北地域で稲発酵粗飼料向け専用品種として栽培される「べこごのみ」(東北中北部向け)、「夢あおば」(東北中南部向け)の、播種期に応じた出穂予想マップを作成し、湛水直播栽培を導入した作業体系構築のための目安とする。
成果の内容・特徴
- 播種日からの日平均気温と、DVR法により作成した発育予測モデルを用いることにより、東北地域において稲発酵粗飼料向けの品種として栽培される「べこごのみ」と「夢あおば」の出穂日が予測できる(表1、図1)。
- 東北地域の水田地帯での1kmメッシュごとの日平均気温の平年値を用いた出穂予想マップを作成すると、各栽培地域で品種や播種時期ごとの出穂予想日が視覚的に提示できる(図2)。
- 出穂予想マップはホームページ上で公開し、播種時期別に表示することにより、作期間での出穂予想日の比較が可能である。また、出穂予想日からおおよそ30~40日の黄熟期収穫を目安とすれば、地域の食用米収穫時期を考慮した上で、収穫適期を出穂予想マップから容易に判断できる。
成果の活用面・留意点
- 品種の栽培適地をふまえた上で(「べこごのみ」:東北中北部向け、「夢あおば」:東北中南部向け)、各地域の気象条件での湛水直播栽培に適した品種・作期の選択や、追肥や収穫等の作業計画策定の目安として活用する。特に収穫期について地域の食用米収穫時期と重ならないような品種・作期を選択する。直播での作期設定が困難な地域では移植栽培を行う。なお、出穂日の予測は一定の苗立数確保(100~150本/㎡程度)を前提とする。
- モデルは2006年から2008年にかけて東北農業研究センター(盛岡市)において湛水直播(条播、酸素供給剤1倍量粉衣及び無粉衣、覆土及び無覆土、苗立数100~150本/㎡程度)用いた作期移動試験の気象、生育データにより作成した。
- 出穂予想マップは当年の気象の推移に伴いメッシュ気温実況データにより予想日の表示を随時更新する予定である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:東北地域における水田高度利用による飼料用稲生産と耕畜連携による資源循環型地域営農システムの確立
- 中課題整理番号:212b.1
- 予算区分:委託プロ(えさ)
- 研究期間:2006~2009年度
- 研究担当者:山口弘道、神田英司、関矢博幸、河本英憲、木村勝一、橘雅明、中島敏彦、土屋一成、藤森英樹、大谷隆二、田中治、福重直輝、小松篤司、押部明徳、白土宏之、福嶌陽、福田あかり