東北地域での低アミロース水稲品種の適作期を示す白米アミロース含有率推定法
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要約
東北地域での低アミロース水稲品種において、DVR法による出穂予測と、登熟気温と白米アミロース含有率との回帰式により白米アミロース含有率が推定できる。玄米の白濁が少ない目標含有率を10~15%とすれば高品質生産のための適作期が提示できる。
- キーワード:低アミロース水稲品種、白米アミロース含有率、品質予測、作期
- 担当:東北農研・寒冷地温暖化研究チーム、東北飼料イネ研究チーム、東北水田輪作チーム、宮城県古川農業試験場、山形県農業総合研究センター水田農業試験場
- 代表連絡先:電話0187-66-2776
- 区分:東北農業・作物(稲栽培)、作物
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
低アミロース水稲品種の業務用、加工用需要への安定供給のためには安価で均質な生産物の提供が求められる。一方で低アミロース水稲品種の白米アミロース含有率は地域や気象条件、栽培条件による変動が大きく、特に高温条件での登熟により白米アミロース含有率の低下が大きいと玄米が白濁し外観品質が低下する場合がある。そこで東北地域の3試験地において移植、直播それぞれ3作期の連絡試験を3ヶ年継続し、気象、生育、品質データを蓄積することにより品質変動要因を解明、それらに基づいた品質予測法を開発し、高品質を安定的に確保するための栽培法や作期を検討する。
成果の内容・特徴
- 白米アミロース含有率は出穂後5~24日の日平均気温との間に品種ごとに高い負の相関関係が見られ、白米アミロース含有率が10%を下回ると玄米の白濁が顕著になる(図1、2)。
- 3ヶ年、3地点の気象および生育データをもとにDVR法により作成した出穂予測モデルおよび登熟気温と白米アミロース含有率との回帰式を用いて移植日・播種日毎の白米アミロース含有率を予測できる(図3)。
- 顕著な白濁を生じずに低アミロース性を示す白米アミロース含有率として10~15%を目標とした場合に、日平均気温の平年値の推移から移植栽培、直播栽培それぞれの適作期を品種毎、地域毎に提示できる(図2、3)。
成果の活用面・留意点
- 東北地域での低アミロース水稲品種の栽培において高品質を安定的に確保するための栽培法や作期選択のための基礎的知見となる。
- 連絡試験は2006年から2008年にかけて宮城県古川農試(大崎市)、山形県農総研水田農試(鶴岡市)、東北農研大仙研究拠点(秋田県大仙市)において共通品種(スノーパール:東北農研育成、たきたて:宮城県育成、里のゆき:山形県育成)を用いて、移植、直播につき各地の標準栽培法に基づいて実施した。
具体的データ



その他
- 研究課題名:寒冷地における気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
- 中課題整理番号:215a.2
- 予算区分:委託プロ(加工)
- 研究期間:2006~2009年度
- 研究担当者:山口弘道、吉永悟志、白土宏之、福嶌陽、福田あかり、長田健二、浅野真澄(宮城県古川農試)、八島由美(宮城県古川農試)、三上雄史(宮城県農産園芸環境課)、和泉佳(宮城県栗原農業改良普及センター)、今川彰教(山形県最上総合支庁)、安藤正(山形県農総研水田試)