肥育中期の持久的な運動負荷は日本短角種肥育牛のロース芯面積を大きくする
要約
肥育中期に持久的な運動負荷を与えた日本短角種肥育牛は、負荷を与えなかった牛と比較して、増体および飼料摂取量は同等で肉質がややかたくなる傾向があるが、ロース芯面積が大きくなる。
- キーワード:放牧、牛肉、運動負荷、ロース芯面積、剪断力価
- 担当:東北農研・日本短角研究チーム
- 代表連絡先:電話019-643-3541
- 区分:東北農業・畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
放牧には飼料・栄養・運動・環境などさまざまな要因が関与するため、放牧が枝肉形質や肉質にどのようにして影響を及ぼすかは明らかとなっていない。また、日本短角種においては、他の肉用和牛と比較してロース芯面積が小さく枝肉の歩留まりが悪いことが課題となっており、運動負荷による筋肉の発達を促す効果が期待される。そこで、放牧の要因の中で運動負荷に着目し、肥育中期の日本短角種牛に対する運動負荷の効果を明らかにし、日本短角種の効率的な生産技術に繋げようとしたものである。
成果の内容・特徴
- 舎飼いしている日本短角種去勢牛の肥育中期に、放牧を想定した1日約4km(約1時間)、週5日の引き運動を16週間行っても(表1)、肥育期間中の飼料摂取量および増体は運動負荷をかけずに舎飼した牛と同等となる(表2)。
- 肥育中期に運動負荷を行った牛は、運動負荷を行わなかった牛よりもロース芯面積が大きくなる(表3)。
- 牛肉の剪断力価は、モモ(いちぼ)とヒレでわずかであるが有意に高くなり、持久的な運動負荷は肉をややかたくする可能性がある(表3)。
成果の活用面・留意点
- 日本短角種肥育牛における効率的赤肉生産技術の参考となる。
- 放牧を想定した運動負荷の程度は、Dunneら(Meat Science, vol.71, p219-229, 2005)の報告を参考とした。
具体的データ
その他
- 研究課題名:地域条件を活かした健全な家畜飼養のための放牧技術の開発
- 中課題整理番号:212d.2
- 予算区分:基盤、委託プロ( えさ)
- 研究期間:2006~2009 年度
- 研究担当者:柴伸弥、渡邊彰、樋口幹人、今成麻衣