東北地方の春播き栽培に適するソバ品種候補「東北3号」
要約
ソバ品種候補「東北3号」は春播き栽培において早生で多収であり、そばの官能評価が高いことから、東北地方におけるそばのブランド確立に貢献できる。
- キーワード:春播き、東北地方、早生、ソバ、官能評価
- 担当:ブランド農産物開発・資源作物品種開発・利用
- 代表連絡先:電話 029-838-8393
- 研究所名:東北農業研究センター・畑作園芸研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
ソバ(Fagopyrum esculentum Moench)は機械栽培に適するため、東北地方では転換畑にソバを導入する地域が増加している。一方で、播種期の拡大や二毛作等による生産性の向上が求められている。そこで安定的に春播き栽培ができる早生、多収で良食味のソバ新品種を育成する。
成果の内容・特徴
- ソバ「東北3号」は子実品質に優れる「奈川在来」を種子親に、早生で多収の「北海14号」(現在の「レラノカオリ」)を花粉親として交配育成した夏型の系統である。2015年では雑種第8世代である。
- ソバ「東北3号」は育成地(盛岡)の春播き(5月播き)において標準品種「階上早生(はしかみわせ)」よりも成熟期が7日早く、夏播き栽培(7月播き)において成熟期が4日早い早生であり、草丈が低い(表1)。
- ソバ「東北3号」は育成地の春播き栽培において標準品種より10%以上多収で千粒重が重く、夏播き栽培では低収である(表1)。現地試験(秋田県羽後町)において「東北3号」は早生であり草丈が低い(表2)。
- 実需者によるそばの官能評価ではソバ東北3号は色や香りの評価が高く、総合点で「階上早生」よりも優れる(図1、2)。
成果の活用面・留意点
- 秋田県羽後町において春播き栽培を中心に30ha程度の普及が見込まれる。官能評価が高いことから東北ソバとしてのブランド化に活用できる。
- ソバ東北3号の容積重はやや軽いため、収穫物の精選に留意する。
具体的データ
その他
- 中課題名:高付加価値を有する資源作物品種の育成と新規作物の評価・活用
- 中課題整理番号:320d0
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2009~2015年度
- 研究担当者:本田裕、川崎光代、大潟直樹、加藤晶子
- 発表論文等:川崎ら「夏吉」品種登録出願2016年5月19日(第31147号)