育苗施設における野菜・花き類の苗自動搬送システム

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要約

野菜、花き苗のトレイやポットをパレット(セル成型トレイ6枚収容可能)に積載し、パレット単位で作業場と栽培施設との間を移動させるガントリとアクセス装置からなる苗自動搬送システムを開発した。

  • 担当:野菜・茶業試験場 施設生産部 機械利用研究室
  • 連絡先:0569-72-1166
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:作業
  • 対象:野菜・花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

近年セル成型苗の大量生産技術の発展、普及にともない、野菜・花き苗を対象とした大規模育苗施設が各地で導入されている。土詰め、播種、接ぎ木、肥培管理等個別作業の機械化は進展しているが、作業場と栽培施設を結ぶ苗搬出・搬入等のハンドリング作業は省力化・自動化が遅れている。そこで、播種から生育、出荷に至るすべての育苗作業行程を結合する搬送システムの開発を図る。

成果の内容・特徴

  • 本システムは、栽培施設において苗の収集・配置を行うパレット搬送ガントリ装置と、作業場と栽培施設の間を往復してガントリ装置に結合し、苗パレットの 受け渡しを行うアクセス装置の2つの装置からなり、プログラマブルコントローラで自動制御することにより、「苗生産のための自動倉庫」というべき機能を もっている(図1、表1)。
  • パレット搬送ガントリ装置は、0.5m/sを最大速度として移動速度を2段階に設定でき、一度に5パレット(セル成型トレイ30枚分)を搭載できる。
  • パレットの昇降は、ガントリ装置の両側に設置した1対のリフトにより上下方向に行い、パレット懸架棚は、ソレノイド駆動により収納する機構である。
  • アクセス装置へのパレットの受け渡しは空気圧シリンダ駆動の伸縮アームとソレノイド駆動の把持フィンガを使用し、アクセス装置によりパレットを1個ずつ 栽培施設から作業場へ、或いは作業場から栽培施設へ運ぶ。この移動はACモータに接続したドラムのワイヤの巻き取りによる。
  • アクセス装置の制御はガントリ装置のコントローラで行うが、手動操作も可能である。

成果の活用面と留意点

  • 野菜、花き類だけでなく、水稲等の大規模育苗施設の無人苗搬送システムを実現する時のプロトタイプとして利用できる。
  • 自動走行を行うため栽培施設内での作業者の安全確保に留意する必要がある。

具体的データ

図1 苗自動搬送システム

表1 苗搬送ガントリ装置の主要諸元

その他

  • 研究課題名:野菜・花き類の高品位・省力苗生産技術の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(平成4~7年)
  • 発表論文等:苗生産工場における自動化システム実現のための技術開発的研究.
    平成5年度日本植物工場学会講演要旨,42-43,1994.