トマト青枯病の抵抗性発現に対するカルシウム栄養条件の関与
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要約
トマト青枯病抵抗性の発現には、植物体内のカルシウム栄養条件が関与し、低カルシウム条件下では抵抗性は低下するが、高カルシウム条件においては抵抗性が高度に発現する。
- 担当:野菜・茶業試験場 環境部 土壌肥料研究室
- 連絡先:0592-68-4645
- 部会名:野菜・茶業
総合農業(生産環境)
- 専門:肥料
- 対象:果菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
トマト青枯病は最も被害の大きな土壌病害の一つで、その対策として抵抗性品種の栽培や抵抗性台木を用いた接ぎ木栽培が広く行われている。しかし、品種や台木の抵抗性は十分ではなく、その発現は種々の要因によって左右されることが知られている。そこで、トマト青枯病抵抗性の発現に及ぼす体内カルシウム栄養条件の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- カルシウム(Ca)濃度を3段階に変えて水耕栽培した青枯病抵抗性の異なるトマト3品種の苗の茎に、青枯病菌を接種すると、り病性品種(ポンデローザ) はCa条件に関係なく速やかに発病・枯死するのに対し、中程度抵抗性品種(瑞栄)および高度抵抗性品種(LS89)は高Ca条件で発病が抑制され、低Ca 条件下では抵抗性が十分に発現しない(図1)。
- この場合、茎内の青枯病菌密度の高低はおおむね発病程度と対応するが、抵抗性が発現し無病徴の場合でも青枯病菌がトマト体内に生存している(表1)。
- 抵抗性台木(LS89)への接ぎ木苗(桃太郎)を用いた場合でも、高Ca条件で発病が抑制され、高Ca条件が接ぎ木苗の抵抗性を高める(図2)。
成果の活用面・留意点
- 野菜生産のための肥料・資材の利用開発に役立ち、栄養病理複合障害の基礎資料としても活用できる。
- 水耕実験法による結果であり、さらに土耕による検討を行う必要がある。また、実用技術にするためには、長期にわたり発病の推移を明らかにする必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:野菜畑における養分環境と病害との関係解明およびその制御技術の開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成2~6年)
- 研究担当者:山崎浩道・保科次雄-->
- 発表論文等:(1)カルシウム栄養条件がトマト青枯病抵抗性品種の発病に及ぼす影響.
土肥誌,64,325-328,1993
(2)Calcium nutrition affects resistance of tomato seedlings to
bacterial wilt. HortScience,30,1995 (in press)