RAPDマーカーによるスイカ連鎖地図の作成

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要約

DNA多型(RAPD)を用いてスイカ連鎖地図を作成した。果皮模様および果肉色に関する遺伝子の連鎖地図上の位置が定められた。

  • 担当:野菜・茶業試験場 野菜育種部 育種第1研究室
  • 連絡先:0592-68-4651
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:バイテク
  • 対象:果菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

DNA多型に基づいて作成される連鎖地図の利用は育種の効率的推進上で大きく貢献すると考えられる。そこで任意な配列のプライマーによって増幅されるDNA多型(RAPD:random amplified polymorphic DNA)を用いてスイカの連鎖地図を作成する。

成果の内容・特徴

  • スイカ栽培品種H-7(縞皮・赤肉・大球、固定品種)と固定系統S-1(無地皮・白肉・超大球)、そのF1をS-1に戻し交雑したBC270個体、H-7に戻し交雑したBC160個体を材料とした。それぞれの個体からCTAB法でDNAを抽出し、これを鋳型としてPCRを行った。増幅されたバンド間および形態的形質との連鎖については Mapmakerによって解析した。
  • H-7とS-1を識別できるバンドのうち、H-7に特異的な92本のバンドが得られた。このうち50がマーカーとして利用できるものであった。S-1に戻し交雑した BC1世代における分離を解析した結果、40個のマーカーが10の連鎖群に分類され、連鎖地図上の位置が決定された。また濃緑縞模様果皮に関する遺伝子が連鎖群Iに属した(図1)。
  • S-1に特異的なバンドは118本であり、このうち連鎖解析に使用できるマーカーは85個であった。H-7に戻し交雑したBC1世代におけるこれらマーカーの分離を解析した結果、76個のマーカーが11連鎖群に分類され、全長614cMの地図の位置が決定された。縞模様果皮に関する遺伝子が連鎖群IIIに、赤色果肉に関する遺伝子が連鎖群IIにそれぞれ属した(図省略)。

成果の活用面・留意点

  • スイカは染色体数から11の連鎖群が期待される。今回の連鎖群の中には全長の短いものがあり、さらに多くのマーカーを用いて連鎖地図を精密にする必要がある。
  • 果皮模様、果肉色以外の農業形質についても地図上の位置を決定する必要がある。
  • より実用品種に近い交配組み合わせでの地図が必要である。

具体的データ

図1 BC3[(H-7×S-1)×s-1]世代の解析により作成したスイカ連鎖地図

その他

  • 研究課題名:野菜におけるRFLP利用技術の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(平成3~7年)
  • 研究担当者:橋詰利治・平井正志・由比真美子-->
  • 発表論文等:(1)RAPD法利用によるスイカ連鎖地図の作成.育雑,43(別2),118,1993
    (2)RAPD法利用によるスイカ遺伝子の連鎖解析.育雑,44(別2),201,1994