イオンメーターによる発色茶および添加茶の判別法
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
イオンメーターを用いることにより、従来はイオンクロマトグラフ、アミノ酸分析計による分析で確認されていた、茶葉のアンモニウム塩処理およびグルタミン酸ソーダ添加の判別を簡易・迅速に行う方法を開発した。
- 担当:野菜・茶業試験場 茶利用加工部 品質化学研究室
- 連絡先:0547-45-4101
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:品質化学
- 対象:茶
- 分類:普及
背景・ねらい
茶葉の色改善を目的に一部で行われているアンモニウム塩による処理、および下級茶の味改善を目的に一部で行われているアミノ酸(グルタミン酸ソーダ)の添加に関しては、これまで、その有無を判別する簡易な方法がなかった。このため、適切な表示がなされないままに流通しているケースが見られ、茶の健全な流通の妨げになっていた。これらの不適切な商品の流通を防ぐため、上記の処理や添加を受けた茶と、無処理・無添加の茶とを簡易・迅速に判別するための方法が必要とされていた。
成果の内容・特徴
- 隔離型アンモニウム電極を用いた、茶抽出液中のアンモニウムの簡易定量法を確立した。この方法により、アンモニウム塩処理茶と無処理茶とを容易に判別することができ、表1および2に示すように、アンモニウム濃度5mg/l以上はその処理が疑われる。本法は、pHを10に調整することにより、イオンメーターの指示の不安定を回避した点に特長がある。
- ガラス膜型ナトリウムイオン電極を用いて、茶抽出液中のナトリウムイオン量を測定することより、グルタミン酸ソーダ添加の有無を容易に判別できる。表1および2に示すように、ナトリウムイオン濃度10mg/l以上でその添加が疑われる。本法は、ナトリウムイオンに対し高い選択性を有する電極を用いることで、茶抽出液中に多量に存在するカリウムイオンの妨害を除去できる。
- イオンメーターを用いる測定法は、精度の面においてはイオンクロマトグラフやアミノ酸分析計を用いるクロマトグラフィー法に劣るものの、判別の目的には 十分な感度・精度を有し、複雑な前処理を必要とせず、測定装置も小型で安価であり、操作にさして熟練も必要ない等、多くの特長を有する簡便・迅速判別法で ある。
成果の活用面・留意点
- 茶の流通の各段階での分析に使用される。
- 茶の保存状態、茶種等により無処理・無添加のものでも各々の成分の含有量に違いがあるので、正常値を十分にチェックしておく必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:茶類飲料の健全性確保のための評価法の基礎的検討
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成3~7年)
- 研究担当者:後藤哲久・堀江秀樹・向井俊博-->
- 発表論文等:(1)イオンメータによる茶葉中のアンモニウムの簡易分析法.茶研報,74,
11-13,1991
(2)添加茶の化学成分による判別法.茶研報,76,33-38,1992