チャ新芽嫌気処理後のγ-アミノ酪酸含有量の品種間差異
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要約
チャ新芽を嫌気処理した後のγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量には品種間差異があり,γ-アミノ酪酸の高含有品種を見いだした。しかし,栽培条件の違いがγ-アミノ酪酸含有量に及ぼす影響は少なかった。
- 担当:野菜・茶業試験場 久留米支場 育種素材研究室
- 連絡先:0993-76-2126
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:育種
- 対象:茶
- 分類:研究
背景・ねらい
チャの新芽を嫌気条件下におくと,γ-アミノ酪酸(以下GABAとする)とアラニンが増加し,グルタミン酸とアスパラギン酸が減少すること,またGABAはグルタミン酸が脱炭酸されて生じることが報告されている。このGABAは血圧降下作用のある機能性成分として知られているので,この物質を多量に含む品種の育成や栽培法の開発は有意義である。そのためには,嫌気処理後のGABA含有量について品種間差異あるいは栽培条件の影響を明らかにする必要がある。
成果の内容・特徴
- GABA含有量の年次間変動は大きいが,含有量の少ない品種としては'かなやみどり''黄柑'など,多い品種としては'ゆたかみどり''べにたちわせ'などである(表1)。'べにたちわせ'は特に多く,GABA含有量が673mg/100gになる年次もあった。
- 尿素散布(表2)や寒冷しゃ被覆(図表省略)のように,全アミノ酸を増加させるような処理を行っても,嫌気処理後のGABA含有量は無処理と大きな差はない。
- 嫌気処理前のグルタミン酸含有量で嫌気処理後のGABA含有量を推定することは困難である(図1)。
成果の活用面・留意点
- GABA含有量の多い品種を用いることで,GABAを多く含むギャバロン茶を製造することが可能となる。
- GABA含有量は年次間変動が大きいので,GABA含有量の多い品種を判断するためには,複数年の調査が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:茶葉中γ-アミノ酪酸の生合成能の評価とその変動要因の解明
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成2~6年)
- 発表論文等:(1)γ-アミノ酪酸生成における品種間差異と熟度の関係.茶研報,
74(別),1991
(2)被覆および尿素散布がチャ新芽のγ-アミノ酪酸生成に及ぼす影響.
茶研報,78,1993
(3)嫌気処理によるチャ新芽のアミノ酸変化の系統間差異.茶研報,
79(別),1994