キャベツのセル成型苗育苗管理システム
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要約
地域先導技術総合研究の成果並びに全国の公立試験研究機関の試験データを基に、キャベツセル成型苗の育苗管理システムを再構築し、そのマニュアルを作成した。
- キーワード:キャベツ、セル成型苗、育苗管理システム、マニュアル
- 担当:野菜・茶業試験場・生理生態部・作型開発研究室
- 連絡先:059-268-4631
- 部会名:野菜・茶業、総合農業(総合研究)
- 専門:栽培
- 対象:葉茎菜類
- 分類:普及
背景・ねらい
定植作業の全自動化などにより野菜生産の省力・軽作業化が図れることから、セル成型苗の利用が年々増加している。しかし、セル成型育苗が地床育苗 などの従来の育苗法と比べて全く異なる育苗形態をとることから、新たにセル成型育苗に取り組む現地では多くの問題点が生じている。
そこで、これまで国内で行われた試験結果を集約し、セル成型育苗管理をシステム化してマニュアルにとりまとめ、研究成果の生産現場へのフィードバックを図る。
成果の内容・特徴
- キャベツセル成型育苗管理システムを以下の要領でとりまとめた。
- セル成型育苗の特徴
全自動移植機に対応した均一な苗を大量に生産することができ、育苗管理による生育調節が可能である。
- 良いセル成型苗を構成する3つの要素
機械定植適応性、苗生育の斉一性、苗の発根力がセル成型苗の特徴を最大限に生かすための苗質評価の視点となる。
- 育苗管理の要点
- 育苗資材
セルトレイは128穴、培養土はピートモス・バーミキュライトを主体としたもの、覆土はバーミキュライトを用いる。大きさを揃えた種子を用いたコート種子を使用することで出芽と生育の揃いが高まる。
- 播種作業
トレイへの培養土の充填と灌水を均一にし、播種の深さを10mm程度にすると出芽が順調で根の生育がよい(図1)。
- 育苗管理
育苗時の温度、光、灌水、施肥管理を適正に行うことにより苗の生育と均一性を高める。また、定植適期苗の基準を明確にして、定植作業やその後の生育につなげることが肝要である。
- 定植作業
天候不順により機械定植ができない場合は低温貯蔵(図2)による対処が有効である。定植前に底面給水を行い、植え付け時に根鉢を十分に覆土して植え付けること(図3)で乾燥期にも順調に活着させることが可能である。
- 育苗管理の注意点
出芽後の寒冷紗の連続使用、セルトレイの底面を水に浸したままの育苗、根鉢の過乾燥、定植直前の液肥切れは避ける。
- 良い苗を作る要点
換気の徹底、根鉢の水分むらの防止、育苗前期の肥料の与えすぎの防止、低濃度の液肥を用いた液肥潅水について配慮することが肝要である。
- キャベツのタイプと定植適期苗の草姿
寒玉系品種、春系品種、ボール系品種は、それぞれの外観的特徴が異なるので品種特性に留意して、定植適期の判定を行う。
- 以上をとりまとめ育苗管理マニュアル(図4)を作成した。
成果の活用面・留意点
- これからセル成型育苗を取り入れる生産現場に国内の試験研究の成果が活用される。
- 実際の苗生産においては、季節や用いる品種によって苗の生育が異なることから、これらの点を考慮した上で本マニュアルを参考に、より生産現場に適応したマニュアルづくりを行うことが望ましい。
具体的データ




その他
- 研究課題名:活着促進技術の開発、セル成型苗の利用技術の確立
- 予算区分 :実用化促進(地域総合)
- 研究期間 :平成9年度(平成6~8年、9~10年)
- 研究担当者:藤原隆広・吉岡 宏・佐藤文生
- 発表論文等:藤原隆広・西畑秀次.葉茎菜類セル成型育苗における技術開発の現状と今後の課題.キャベツ.平成8年度課題別研究会資料.生理生態部・作型開発研究室.1997.12.キャベツのセル成型苗育苗管理マニュアル