MAP(Modified Atmosphere Packaging)によるキャベツセル成型苗の貯蔵
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要約
MAPによるキャベツセル成型苗の貯蔵最適雰囲気条件は、O↓2 2%/CO↓2 8%または、O↓2 16%/CO↓2 20%である。貯蔵可能期間は2週間以内で、貯蔵前の苗は緑色が濃く充実していることが必要である。
- キーワード:MAP、キャベツセル成型苗、雰囲気条件
- 担当:野菜・茶業試験場生理生態部輸送貯蔵研究室
- 連絡先:059-268-4635
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:加工利用
- 対象:葉茎菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
プラスチックフィルム袋で野菜や果実を密封包装し、呼吸作用とフィルムのガス透過性を利用して、雰囲気を低O↓2 /高CO↓2 状態にするMAPは、簡便で経済的なことから、収穫物の鮮度保持技術として広く利用されている。一方、野菜生産の機械化を促進する上で、苗の貯蔵技術の確 立が望まれている。そこで、キャベツセル成型苗のMAP貯蔵の可能性を探る。
成果の内容・特徴
- キャベツ'金系201号'コート種子を128穴セルトレイに播種、育苗した。MAP用包装資材は、大きさ76x95cm、厚さ0.1mmのポリエ チレン袋またはナイロン/ポリエチレン積層フィルムである。MAPによる雰囲気制御の苗徒長抑制効果を確認するため、雰囲気以外は、徒長し易い貯蔵条件 (暗所、温度15°C)とし、苗は貯蔵前に十分に灌水した。
- セル成型苗をトレイごと密封包装して、呼吸作用だけで雰囲気を低O↓2 /高CO↓2 状態にすることは困難であり、Active MAP(ガス置換後密封)法を採用する必要がある(図1)。
- 低O↓2(O↓2 2%)単独雰囲気で、対照の空気条件区よりも緑色が保持されるが、徒長および葉数の増加を抑制することはできない(表1)。
- CO↓2 20%で、低O↓2 を併用しない雰囲気(高CO↓2 単独)で、徒長および葉数の増加を抑制することができる。貯蔵期間2週間の場合、活着率は高く、満足すべき収穫量が得られる。3週間貯蔵では苗に障害が発生し、定植するに至らない(表1)。
- O↓2 2%/CO↓2 8%の低O↓2 と高CO↓2 併用で、徒長および葉数増加抑制効果がある。また、苗の緑色が保持され、定植後の活着率は高い(表1)。しかし、CO↓2 が10%を越えると、苗に障害が発生する(データ省略)。
- 貯蔵前の苗は、緑色が濃く、充実している必要がある(表1)。
- 貯蔵後に緑色を維持していても、障害が発生した苗では、葉身のアスコルビン酸含量の低下が認められた(表1)。
成果の活用面・留意点
苗貯蔵条件改善の基礎資料とする。
具体的データ


その他
- 研究課題名:MAPによる野菜及び花きセル成型苗の貯蔵と評価に関する研究
- 予算区分:場内プロジェクト
- 研究期間:平成9年度(平成8~9年)
- 研究担当者:山下市二・永田雅靖・壇 和弘
- 発表論文等:キャベツセル成型苗の修整空気発生装置を利用したActive MA包装貯蔵.園学雑,65(別2),388~389,1996.