キュウリうどんこ病抵抗性の温度反応と抵抗性素材の選定

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要約

キュウリのうどんこ病抵抗性は25~30°Cの高温条件で抵抗性を示す温度依存型抵抗性であり、春季及び秋季における抵抗性品種の発病は1日当たりの高温時 間数が少ないことに原因があると考えられた。抵抗性素材は26°C恒温条件で44品種・系統が、20°C恒温条件で4品種・系統が選定された。

  • キーワード:キュウリ、うどんこ病抵抗性、温度依存型抵抗性、抵抗性素材
  • 担当:野菜・茶業試験場久留米支場ウリ科野菜育種研究室
  • 連絡先:0942-43-8271
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:育種
  • 対象:果菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

一般に我が国のキュウリのうどんこ病抵抗性品種は夏季に抵抗性を示すが、春季あるいは秋季には罹病することが知られている。そこで、この原因究明のために温度がうどんこ病抵抗性の発現に及ぼす影響を検討し、併せて抵抗性素材を検索する。

成果の内容・特徴

  • 一般にうどんこ病抵抗性品種といわれている'あそみどり5号'は27.5°C、同'夏節成'は25°C以上の恒温条件では抵抗性を示すが、それ以下では罹病性となる(図1)。
  • 抵抗性品種の'夏節成'及び'あそみどり5号'のうどんこ病抵抗性は1日当たりの高温時間数によって変化し、30°C16時間以上(15°C・8時間以下)では抵抗性を示すが、30°C8時間以下(15°C16時間以上)では罹病性となる(図2)。
  • '夏節成'及び'あそみどり5号'の抵抗性は温度依存型抵抗性であり、秋季及び春季におけるこのようなうどんこ病抵抗性品種の発病は1日当たりの高温時間数が少ないことに原因があると考えられる。
  • キュウリ300品種・系統のうどんこ病抵抗性を検定した結果、26°Cで44品種・系統、20°Cで4品種・系統が抵抗性と判定された(表1)。
  • 20°Cで抵抗性の品種・系統は26°Cでも抵抗性を示すが、20°Cで抵抗性を示し26°Cで罹病性となる品種・系統は認められない。

成果の活用面・留意点

  • キュウリのうどんこ病抵抗性検定に活用できる。またうどんこ病発生防止のための温度管理技術の参考資料となる。
  • 供試品種・系統の抵抗性には連続性が認められるため今後は抵抗性程度を細分し、より精緻な抵抗性評価基準を作成する必要がある。
  • 抵抗性素材は共同研究契約に基づく育種素材として、また遺伝資源配布規定に基づき、利用可能である。

具体的データ

図1:品種のうどんこ病抵抗性に及ぼす恒温の影響

図2:品種のうどんこ病抵抗性に及ぼす変温の影響

表1:供試300品種・系統中26°C及び20°Cの各恒温条件でうどんこ病抵抗性が認められた品種・系統

その他

  • 研究課題名:キュウリのうどんこ病抵抗性育種
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成9年度(平成8~12年)
  • 研究担当者:森下昌三・斎藤猛雄・杉山慶太
  • 発表論文等:New gene source for powdery mildew resistance in Japanese cucumber. 園学雑, 67(別1), 134, 1998.