サイトカイニンのアマランサス生物検定法の改良

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要約

従来のアマランサス子葉を用いた生物検定法を改良することにより、高感度で迅速にサイトカイニンを検出できる方法を開発した。

  • キーワード:アマランサス、生物検定法、サイトカイニン
  • 野菜・茶業試験場花き部開花制御研究室
  • 連絡先:059-268-4663
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:生理
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

サイトカイニンの生物検定には感度の高いタバコあるいはダイズカルスを利用した方法が多く用いられているが、検定に要する期間が長く操作が煩雑であるな ど欠点が多い。そこで、検出感度はやや低いが検定期間が短く操作は簡単なアマランサス生物検定法を改良し、検出感度の向上を図る。

成果の内容・特徴

  1. Amaranthus caudatus viridisを寒天培地(0.8%)に播種し、暗黒22°Cで72時間培養して発芽した子葉を、検定試料を溶解した60μlの1/75Mリン酸バッファー(pH6.8、1mg/mlのL-チロシン含む)に5個体ずつ投入し、暗黒30°Cで24時間回転培養(5rpm)する(表1)。
  2. 培養した子葉を-20°Cで凍結した後、3mlの水を加えて解凍し、生成されたベタシアニンを抽出して抽出液をマイクロプレートに分注する。抽出液の542nmと620nmの吸光度差をマイクロプレートリーダーで読み取る。
  3. 上記方法で0.5pmolのt-Zeatin(t-Z)、 cis-Zeatin(cis-Z)、 t-Zeatin riboside(t-ZR)、 Isopentenil adenine(IP)、 Isopentenil adenosine(IPA)が検出可能となった(表2)。サイトカイニンの検出感度は従来のアマランサス法の約40倍、ダイズカルス法の約20倍と大幅に向上し、現行の生物検定法としては最も検出感度が高くなった。
  4. キクの茎葉およびトルコギキョウの葉からサイトカイニンを抽出し、HPLCで分画したフラクションを本法で検定した結果、t-Z、 t-ZR、 IPの存在が確認され、本法の有効性を確かめた(図1)。
  5. 各サイトカイニンごとに検量線を作成すれば定量が可能である。
  6. 成果の活用面・留意点

    本法は花き類だけでなく植物一般のサイトカイニンの検出に利用できる。検定に当たってはHPLC等による精製が不可欠である。

具体的データ

表1:アマランサス子葉の育成条件と検定条件

表2:各サイトカイニンに対する検出感度

図1:キクとトルコギキョウのサイトカイニン活性

その他

  • 研究課題名:ファレノプシスの花熟成立機構の生理・生化学的解明に関する研究
  • 予算区分:特別研究員
  • 研究期間 :平成9年度(平成7~9年)
  • 研究担当者:窪田 聡・今村 仁・腰岡政二
  • 発表論文等:アマランサス子葉を用いたサイトカイニン生物検定法の改良.園学雑,66(別2), 608~609,1997.