カンザワハダニの寄生におけるチャの品種間差
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要約
チャの品種・系統によってカンザワハダニの寄生密度は異なる。寄生は'やぶきた'で最も多く、アッサム系の品種・系統では少ない。その品種間差には産卵数の違いが大きく影響している。
- キーワード:チャ、品種・系統、カンザワハダニ、寄生密度、やぶきた、アッサム系、産卵数
- 担当:野菜・茶業試験場茶栽培部虫害研究室
- 連絡先:0547-45-4101
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:作物虫害
- 対象:茶
- 分類:研究
背景・ねらい
カンザワハダニはチャの重要害虫であり、品種により寄生程度に差があることは指摘されているが、多数の品種を用いた比較は行われていない。そこで、39品種・系統を用い、圃場における寄生数の経時的調査と飼育試験により、カンザワハダニの寄生におけるチャの品種・系統の違いを明らかにする。
成果の内容・特徴
- 品種によりカンザワハダニの密度変動の傾向が異なるため、各調査日での密度と累積寄生数との相関は低く、1回の調査では寄生における品種間差を正しく示せない。しかし、各品種でのピーク時密度の比較により寄生における品種間差を示すことが出来る(図1)。
- 各年次の品種別ピーク時密度の間には高い正の相関が見られ、圃場での寄生における品種間差は安定している(表1)。
- 寄生における品種間差は大きく、'やぶきた'で最も寄生が多く、アッサム系の品種・系統に寄生の少ないものが多い(表2)。
- 飼育試験での成虫生存率における品種間差は小さいが、産卵数における品種間差は大きい。また、飼育試験における産卵数と圃場での寄生程度との間には有意な正の相関が見られることから、産卵数の違いが寄生における品種間の違いに大きく影響している(図2)。
成果の活用面・留意点
- カンザワハダニに対する耐虫性育種の基礎資料として利用できる。
- 本成果での圃場における寄生数調査は成木園で行い、平成6年は5~6月、7年は8~9月、9年は6~7月に見られた発生のピークを比較したものである。
具体的データ




その他
- 研究課題名:品種・栽培条件とチャの吸汁性害虫の発生、新芽吸汁性害虫によるチャの被害の解析、カンザワハダニの吸汁阻害の迅速評価法の開発
- 予算区分:重点基礎、経常
- 研究期間:平成9年度(平成6~9年)
- 研究担当者:河合 章
- 発表論文等:チャにおけるカンザワハダニ寄生の品種間差異.応動昆第39回大会講要,1995.