緑茶中のクロロフィル及び関連色素類の高精度分離定量法

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要約

HPLC法による緑茶中のクロロフィル及び関連する色素類の高精度な分離定量法を確立した。これにより、1サイクル35分以内で、C-10位立体異性体を含む主な色素類が同時分析できる。

  • キーワード:クロロフィル、関連する色素類、分離定量、C-10位立体異性体、同時分析
  • 担当:野菜・茶業試験場茶利用加工部品質化学研究室
  • 連絡先:0547-45-4982
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:品質化学
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

クロロフィルのフェオフィチンへの変化率、あるいはクロロフィル含有量は、緑茶の品質指標になることから、より高精度な分析法の開発が必要とされていた。また、近年の食べる茶あるいは食材としての茶の需要拡大を背景に、人に対して光過敏毒性を示すクロロフィル分解物であるフェオホルバイドを高精度に定量し、緑茶の健全性を再評価することが必要とされていた。しかし、緑茶中のクロロフィル及びその関連する色素類の分離定量は、従来の分析法では精度的に問題があった。そこで、簡便な試料調製法を確立し、クロロフィル及び関連する色素類を高精度に同時分析できる方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 試料調製法は、85%アセトン水溶液抽出液(アセトン:水=85:15、V/V)をHPLCに直接注入するという極めて簡便な方法である(図2)。
  • HPLC分析条件としては、グラジエント(勾配溶出法)方式を採用することより、1サイクル35分以内でC-10位エピマー(立体異性体)を含む主な色素類を一斉に分離定量できる(図3と4)。
  • 得られた緑茶中のフェオホルバイド-a含有量は、10mg(100g乾物中)以下で、安全基準値(100mg/100g、クロレラで設定)より少なく、安全性という観点からは、全く問題にならない量である。これにより、緑茶の健全性が再評価された。

成果の活用面・留意点

  • 確立した方法は、緑茶だけでなく、ウーロン茶や紅茶、さらにはクロレラに至るまで応用可能である。
  • 高精度なクロロフィルのフェオフィチンへの変化率測定が可能である。
  • 溶離液中に塩を含んでいることから、定期的なカラム洗浄が必要である。また、分析カラム保護の立場から、ガードカラムが必要である。

具体的データ

図1:クロロフィル及び関連する色素類の構造

図2:試料調製法

図3:HPLC分析条件

図4:HPLCクロマトグラム

その他

  • 研究課題名:茶におけるフェオホルバイドを含むクロロフィル誘導体の分離定量法及び健全性評価法の確立
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成9年度(平成9~12年)
  • 研究担当者:木幡勝則・堀江秀樹・山内雄二
  • 発表論文等:
    1.HPLC法を用いる茶葉中の既存フェオホルバイド-a及び関連するクロロフィル誘導体の分離定量.食科工誌講演要旨, 109, 1997.
    2.High performance liquid chromatographic determination of pheophorbide-a and its related chlorophyll derivatives in tea leaves .Food Sci.Technol.Int.Tokyo. 4(1), 1998.