キャベツセル成型苗の炭酸ガス貯蔵法

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要約

キャベツセル成型苗を20~23%のCO2雰囲気で、15°C暗所で15日間貯蔵できる炭酸ガス貯蔵法を 開発した。CO2の発生にはドライアイスを使用する。苗の徒長抑制効果が高く、貯蔵後の苗質は良好で、生育、収穫量にも問題はない。また、O2濃度は制御する必要がない。

  • キーワード: キャベツセル成型苗、炭酸ガス貯蔵法、徒長抑制
  • 担当:野菜・茶業試験場 生理生態部 輸送貯蔵研究室
  • 連絡先:059-268-4635
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:栽培
  • 対象:葉茎菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

野菜苗の安定供給のためにセル成型苗の貯蔵方法の確立が望まれている。平成8~9年度の キャベツ セル成型苗のMA(Modifiedatmosphere)包装貯蔵に関する研究で、高CO2雰囲気による貯蔵の可能性 を示した。今回、ドライアイスをCO2発生源として、気密性貯蔵庫で簡易に大量の苗を貯蔵する方法を検討する。

成果の内容・特徴

  • キャベツ‘金系201号’コート種子を128穴セルトレイに播種、育苗した。高CO2雰囲気の苗 徒長 抑制効果を確認するため、雰囲気以外は、徒長し易い貯蔵条件(15°C、暗所)とし、貯蔵前に 十分に 灌水した。
  • 容積5.7m3の貯蔵庫を用いる場合、庫内雰囲気を20%CO2にするのに必要なドライアイスは 、 1.95kgである。このとき、O2濃度は、約16%になる。
  • 空気条件下におけるキャベツセル成型苗の呼吸量は0.344mgCO2/株・hrである。一方、 20%CO2雰囲気下での呼吸量は、0.102mgCO2/株・hrに抑制される。
  • 20%および23%CO2雰囲気で、苗草丈の伸長、地上部重量および葉数の増加が抑制され、 葉身の緑色およびアスコルビン酸含量が保持される( 表1 )。また、定植後の生育と収穫量も良好で ある( 表2 )。
  • CO2濃度が26%を越えるような極端な高CO2雰囲気は、徒長および葉数の増加を抑制する が、 葉先が縮れ、地上部重量とアスコルビン酸含量は顕著に減少する( 表1 )。この現象はCO2障害と 考えられ、出庫後苗は枯死して、定植するに至らない( 表2 )。

成果の活用面・留意点

用いた貯蔵庫を20%CO2雰囲気にするのに要する費用は、ドライアイスでは900円、液化炭酸ガスでは360円程度と見込まれる。本貯蔵庫にはキャベツセル成型苗50~100トレイ貯蔵可能である。苗貯蔵条件改善の基礎資料とする。

具体的データ

表1 キャベツセル成型苗の貯蔵条件が苗の特性に及ぼす影響

表2 キャベツセル成型苗の貯蔵条件が活着率、収穫量Zに及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:野菜および花きセル成型苗の炭酸ガス貯蔵
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成10年度(平成10年~13年)
  • 研究担当者:山下市二・壇 和弘
  • 発表論文等:キャベツセル成型苗の炭酸ガス貯蔵.園学雑,67(別2),266,1998
    特許第2939545号