数種野菜に対するスポット可変施肥機の識別性能

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要約

北海道農試がキャベツを対象として開発したスポット可変施肥機を用いることにより、 播種後6週間目までの数種野菜について個体識別、投影葉面積の計測、計測した葉面積に 基づくリアルタイムの個体別追肥が可能である。

  • キーワード: スポット可変施肥機、個体識別、投影葉面積、リアルタイムの個体別追肥
  • 担当:北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:0155-62-9285
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:栽培
  • 対象:茎葉菜類・根菜類
  • 分類:研 究

背景・ねらい

大規模畑作地帯における野菜栽培で、個体別追肥により生育の斉一化を計ることを目的に開発した スポット可変施肥機を用いて、形態や葉色の異なる数種の野菜について個体識別、生育量の計測、 追肥のための注入用ノズルの制御を試みて、初期生育段階の野菜に対する汎用化利用の可能性を示す。

成果の内容・特徴

  • 北海道農試が開発したスポット可変施肥機の個体情報収集制御装置(GISIP)を用いることにより 、播種後6週間以内の6種の野菜の個体別投影葉面積(GISIP葉面積)をリアルタイムで計測できる。 GISIP葉面積と慣行の個体別生育調査データ(全生重、乾物重、写真による投影葉面積)との関係は、 実測葉面積と慣行の個体別生育調査データとの関係とほぼ同等であるので、GISIP葉面積は新たな 生育指標として利用できる( 表1 )。
  • 個体別追肥を想定した注入用ノズルの動作率は、作業速度0.1m/秒で株間60cmの場合、 播種後約5週間目には83~100%、6週間目には81~100%で、全体的に高い比率で識別が可能である ( 表2 )。
  • 個体別追肥を想定した注入用ノズルの貫入位置と対象個体との進行方向に対するずれは、 作業速度0.1m/秒の場合、標準偏差で6.5cm以内となり、対象個体の前後13cm以内に95%以上の 確率で注入することが可能である( 表3 )。
  • スポット可変施肥機は6種の野菜の形態、葉色の特徴と関係なく計測、制御が可能で 初期生育段階の野菜に対して汎用的に利用できる。

成果の活用面・留意点

  • より高い精度のGISIP葉面積を得るには、計測時の雑草は出来る限り防除すること。
  • 生育がさらに進んだ野菜への利用にあたっては、個別にGISIP葉面積と生育量と のキャリブレーションが必要である。

具体的データ

表1 個体情報収集制御装置で計測した投影葉面積、実測葉面積と調査した形質問の相関係数

表2 スポット可変施肥機の数種野菜に対するノズルの動作率

表3 スポット可変施肥機のノズル貫入位置と対象個体の距離の標準偏差

その他

  • 研究課題名:直播キャベツの生育斉一化のための個体管理技術の開発
  • 予算区分 :経常・地域総合
  • 研究期間 :平成10年度(平成9~12年)
  • 研究担当者:豊田政一、石田茂樹、増田欣也
  • 発表論文等:農作業学会平成11年度春季大会で「GISIPの汎用化利用の可能性」として発表予定