軟X線照射花粉の授粉による種なしスイカ作出法
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要約
軟X線を照射した花粉で授粉することにより、普通スイカ(2倍体)を種なし果実
に
する方法を開発した。実用的な照射線量は800Gyである。成熟日数及び果実品質は
通常の授粉に
よって得られるスイカと同等である。
- キーワード:
軟X線、花粉、種なし果実
- 担当:野菜・茶業試験場・久留米支場・ウリ科野菜育種研究室
- 連絡先:0942-43-8271
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:育種
- 対象:果菜類
- 分類:普及
背景・ねらい
スイカは可食部に種があるため,食べる時に煩わしく、食べやすい種なしスイカを望む声が
高い。現在実用化している種なしスイカの作出方法は,3倍性不稔
を利用する方法である。しかし,この3倍体種なしスイカは2倍体の普通スイカに比べて品種
育成に長い年月がかかること、種子の発芽率が低いこと、果実の品
質が劣ること等の理由から広く普及していない。この他、種なしスイカを作出する方法として
は植物ホルモンを利用する方法があるが、果実が小さく、また奇形
になり易いこと等から実用化していない。そこで、これらの問題を解決するために、普通スイ
カ(2倍体)を種なし果にする方法を開発する。
成果の内容・特徴
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開花当日に採花した雄花に軟X線を照射する。
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軟X線照射によって不活化した花粉で雌花に人工授粉することにより、単為結果を誘導し果実
を肥大させる。
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800~1000Gyの照射線量で正常種子がなくなるが(
図1
)、照射時間を考慮すると実用的には800Gyが適当と考えられる
-
種なし果実は普通スイカ果実と同様に肥大し、同程度の日数で成熟する(
表1
)。
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果実の形状、果肉色及び果皮の厚さは普通スイカのそれと同程度であり、糖度は普通スイカよ
りもやや高い傾向がある(
表1
)。
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果実中に3倍体スイカと同様にしいなが残るが、正常種子は全く見られない(
表1
、
図2
)。
成果の活用面・留意点
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この手法は、小玉・大玉を問わないスイカ品種に適用できる。
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果実中に残るしいなの数は交配時期や品種によって少々異なる。
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訪花昆虫による正常花粉の混入を防止する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:種なしスイカの作出技術の開発
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成10年度(平成9~12年)
- 研究担当者:杉山慶太・森下昌三・斉藤猛雄・坂田好輝
- 発表論文等:J. Jpn. Soc. Hort. Sci, 67(1), 135, 1998. 園学雑. 67(別2)283, 1998.
XXV International Horticultural. Congress, Brussel. Abst., 486,1998.
Cucurbitaceae’98. ASHS. 297-299, 1998.
特許申請中9-279331. 1997.