シクラメンのアグロバクテリウムによる形質転換系

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要約

サクラソウ科花きのシクラメンにおいて、アグロバクテリウムによる形質転換系を 開発した。 本転換系は、実生植物の黄化葉柄を外植片に用いて、チジアズロンと2,4-Dを含む 培地で再分化させる。

  • キーワード: シクラメン、アグロバクテリウム、形質転換系
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 育種法研究室
  • 連絡先:059-268-4661
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:バイテク
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

形質転換技術は花きの育種において、ウイルス抵抗性の付与、花の日持ち性の延長あるいは 新花色の作出などに幅広く利用できるものと考えられる。現在、アグロバクテリウム (Agrobacterium tumefaciens )による形質転換が最も一般的であるが、我が国において鉢物としては最も 生産量の多い重要な花きであるシクラメン(Cyclamen persicum Mill.)では、形質転換系が確立されていない。そこで、シクラメンにおいてアグロ バクテリウムによる形質転換系を開発する。

成果の内容・特徴

  • 無菌播種後20°C暗黒下で約3か月育成した植物の黄化葉柄を外植片として用いる。8日間前培養 を行った後、アグロバクテリウ ム懸濁液を接種し、6日間共存培養する。その後、選抜培地に移し、2週間毎に培地を 更新しながら選抜培養する。なお、ここま での培養はすべてチジアズロン(TDZ)と 2,4-Dを含む培地を用い、20°C暗黒下で行う。 感染から約3か月後、再分化したシュート を伸長させるため、植物ホルモンと選抜用抗生物質を除いた培地に移し20°C16時間日長 下で培養する。( 図1 )
  • 再分化個体に対しX-glucを基質に用いたβーグルクロニダーゼ(GUS)活性検定を行う。再 分化植物の中には、非形質転換体が含まれていることがあるので、サザン分析( 図3 )を行い、形質転換体であることを確認する。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は品種'アンネッケ'を用いて得た結果である。形質転換効率の品種間差については未 確認である。
  • アグロバクテリウムについてはAGL0系統を用いると形質転換効率が高い。なお、LBA4404系統 を用いた場合でも効率は低いが形質転換体は得られる。

具体的データ

図1 シクラメン形質転換の手順

図2 シクラメン形質転換体

図3 サザン分析によるGUS遺伝子の検出

その他

  • 研究課題名:花きにおける形質転換系の開発
  • 予算区分:バイテク(地域先端)
  • 研究期間:平成10年度(平成9~11年)
  • 研究担当者:間竜太郎・岸本早苗・柴田道夫・廣瀬由紀夫(現 愛媛農試)
  • 発表論文等:Agrobacterium tumefaciensを用いたシクラメン形質転換体の作出、
    育雑、66巻 (別2) 116、1998