宿根性スターチスうどんこ病(新称)およびシクラメンうどんこ病(新称)
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要約
宿根性スターチスの葉および茎,シクラメンの花弁にうどんこ病の発生が確認さ れた。病原菌の宿主範囲はそれぞれの作物に限定され,形態に差異があることから 異なる >種と考えられるが,いずれもEryshiphe polygoni型のOidium属 菌と同定した。
- キーワード: 宿根性スターチス、シクラメン、うどんこ病、Eryshiphe polygoni型、Oidium属菌
- 担当:野菜・茶業試験場 花き部 病害研究室
- 連絡先:059-268-4642
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:作物病害
- 対象:花き類
- 分類:指導
背景・ねらい
1997年9月三重県松阪市, 同年11月大分県院内町他で宿根性スターチスにうどんこ病が発生 した。また,同年10月に長野県軽井沢町でシクラメンにうどんこ病が発生した。そこで,これ らの病原菌について,形態観察と病原性の検討を行い,病原菌を同定する。
成果の内容・特徴
- 宿根性スターチスうどんこ病は,ハウス栽培で発生し,葉,茎や花枝に白い粉状の斑点を生じ ( 図1 ), 症状が激しい場合には外葉から枯れ上がったり枝が湾曲する。病原菌は宿 根性スターチスの 各品種に対して病原性があるが,スターチス・シヌアータ種の品種では発 病しない( 表1 )。
- シクラメンうどんこ病は,'パステルストラウス'や'ベートーベン'などの品種に発生がみ られ,花弁の表裏面に白い粉状の斑点を生じる ( 図2 )。本病の発生はシクラメンの花弁のみに限られ,シクラメンのその他の部位並びにベゴニア やプリムラには発病しない( 表2 )。
- 両うどんこ病菌は植物体の表面上に菌糸,分生子柄および分生子を盛んに形成し,分生子によ って空気伝染するが,閉子のう殻の形成は認められていない( 表3) 。両病菌は,寄生 性や形態に差異があることから異なる種と考えられるが,分生子柄や分生 子の形態から,いずれも Eryshiphe polygoni 型の Oidium 属菌と同定された。
成果の活用面・留意点
- 病原菌が同定されたことにより,適切な薬剤の登録と選択が可能となる。
- 両病害とも苗によって伝播するので,苗の移動の際には発生の有無に注意する。
具体的データ





その他
- 研究課題名:花き類の新病害・宿根性スターチスうどんこ病,シクラメンうどんこ病
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成10年度(平成9年度)
- 研究担当者:萩原 廣・我孫子和雄・井 智史・冨川 章(三重農技セ)・黒田克利(同左) ・岡本 潤(大分温熱花セ)・清水時哉(長野野菜花試)・小木曽秀紀(同左)
- 発表論文等:1.宿根性スターチスうどんこ病(新称)の発生.日本植物病理学会報64巻5 号,1998
2.シクラメンうどんこ病(新称)の発生.日本植物病理学会報64巻6号,1998