茶葉における傷害誘導性プロテイナーゼインヒビターの活性発現

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要約

茶葉が切断されると傷害葉および傷害葉の上位・下位につく無傷害葉(上位葉・下 位葉)で 傷害誘導性プロテイナーゼインヒビターの活性が発現される。この活性は未成葉で のみ認められ, 成葉では発現されない。

  • キーワード: 茶葉、傷害葉、傷害誘導性プロテイナーゼインヒビター、未成葉
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶栽培部 作業技術研究室
  • 連絡先:0547-45-4654
  • 部会名:野菜・茶業 生物資源
  • 専門:栽培
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

植物には傷害に対する防御反応が備わっており,傷害誘導性プロテイナーゼインヒビターの 発現もその一つである。チャの栽培管理において,摘採,整・せん 枝という樹冠部の切断作業が繰り返し行われるが,茶樹における傷害反応については明らかに されていない。茶樹の傷害反応機構を明らかにするために,茶葉に おける傷害誘導性プロテイナーゼインヒビター活性の発現様式について調査する。

成果の内容・特徴

  • プロテイナーゼインヒビターの活性は,プロテイナーゼ(α-キモトリプシン)活性が茶葉磨 砕液添加により阻害される割合によって評価される( 図1 )。
  • 未成葉においては,茶葉の切断により傷害葉および上位葉・下位葉においてプロテイナーゼイ ンヒビターの活性発現が認められる( 図2 , 表1 )。
  • 成葉においては,茶葉の切断によるプロテイナーゼインヒビターの活性発現は認められない( 図2 , 表1 )。
  • プロテイナーゼインヒビターの活性発現から見た茶葉における傷害反応は,草本植物で報告さ れている反応と類似している。

成果の活用面・留意点

  • 傷害誘導性プロテイナーゼインヒビターの活性は,磨砕緩衝液(阻害物質を含まない)を添加 した場合のプロテイナーゼ活性を基準(100%)にして相対的に算出しているため,活性の定量 性についてはさらに検討が必要である。
  • 茶樹の防御反応を利用した病虫害防除技術を開発していく上で必要な反応制御因子の検索指標 として,茶葉におけるプロテイナーゼインヒビター活性が利用できる。

具体的データ

図1 プロテイナーゼインヒビター活性評価法

 

図2 茶葉の切断方法及びプロテイナーゼインヒビター活性調査葉

 

表1 茶葉切断後の各葉におけるプロテイナーゼ活性

 

その他

  • 研究課題名:茶樹の病傷害ストレス反応機構の解析
  • 予 算 区 分 :重点基礎,経常,特別研究員
  • 研 究 期 間 :平成10年度(平成8~12年)
  • 研究担当者:本間知夫・吉田克志・渡辺利通
  • 発表論文等:茶葉における傷害誘導性プロテイナーゼインヒビター活性.野菜・茶業試験 場研究報告,
    第13号,1998