茶樹における生体電位計測と電位変動

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要約

茶樹の生体電位を茎部より誘導し,連続的に安定して計測することが可能である。 電位は日周変動を示し,その変動には光・温度が関与している。また,施肥直後に 対応を 見せる電位変化を検出することも可能である。

  • キーワード:生体電位、連続的、日周変動、施肥
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶栽培部 作業技術研究室
  • 連絡先:0547-45-4654
  • 部会名:野菜・茶業 総合農業(作業技術)
  • 専門:栽培
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

チャは永年生作物であり,長期的に植物体を良好な状態に維持管理することが求められる。 茶樹の生理状態を迅速・非破壊的・定量的に解析・評価し,その時の生理状態に応じた管理作 業を 行うことは,茶園の良好な状態を永続させる上で重要であると共に,これまで画一的に行われ てきた 茶園管理の合理化・軽労化にもつながる。本研究では,茶樹生体情報のリアルタイムセンシン グ技術の 基礎となる生体電位計測を実施し,施肥応答等の検出を試みる。

成果の内容・特徴

  • 茶樹の生体電位は,土壌を基準として茎部内部の電位を計測している( 図1 )。本法により長期的に安定した茶樹生体電位が計測できる。
  • 恒温培養室(25°C一定,人工光)で計測した'やぶきた'幼茶樹の生体電位は,光のオン・オ フ時に顕著な電位変化が認められる( 図2 )。
  • 野外計測した'やぶきた'幼茶樹及び成木茶樹の生体電位は日周変動を示す。電位レベル,変 動パターン,1日のうちの電位変動値は季節や天候により異なる( 図3 )。これらの結果は,電位変動には光,温度が複雑に関わっていることを示している。
  • 測定している電位は根の状態と関係があると思われ( 図1 ),施肥や灌水等の根系環境に影響を及ぼす処理に対しては,早い電位変化が観察される( 図4 )。

成果の活用面・留意点

  • チャ以外にも様々な植物での電位計測が可能である。
  • 様々な地域・場面で計測を行い,電位変化と関係のある生理機能や事象を特定することが本法 の実用化につながる。
  • 本法は液絡系で電位計測を行っているため,液切れ等に対する注意が日常的に必要である。

具体的データ

図1 茶樹生体電位計測モデル図

図2 温度一定条件下の電位変化

図3 電位の日周変動事例

図4 硫安施肥に対する電位変化

その他

  • 研究課題名:生体電位計測による茶樹生体情報解析技術の開発
  • 予 算 区 分 :総合的開発(軽労化)
  • 研 究 期 間 :平成10年度(平成9~11年)
  • 研究担当者:本間知夫・渡辺利通
  • 発表論文等:1)茶樹生体電位の長期連続計測.1998年電気化学秋季大会講演要旨集, 1998
    2)茶樹根系活性測定の電気生理学的アプローチ.根の研究,第7巻3号,1998