生体電位計測による茶樹根の障害の非破壊的検出
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要約
多肥により根に障害を起こさせた幼茶樹苗の生体電位(茎部より誘導)は,無処理苗に較べより プラス側の値(0に近い値)を示す。電位値がプラス側になるほど根の呼吸活性は小さくなる。 電位計測により根の障害が検出できる可能性が見出された。
- キーワード: 障害、生体電位、根の呼吸活性
- 担当:野菜・茶業試験場 茶栽培部 作業技術研究室
- 連絡先:0547-45-4654
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:栽培
- 対象:茶
- 分類:研究
背景・ねらい
茶栽培における過剰な肥料投与により引き起こされる根の生理機能障害や枯死は,茶園を健全に長期に渡り維持する上で大きな問題である。投入肥料を有効に活用し,活力ある根系を維持するためにも,根の生理状態を根を掘りあげることなく非破壊的,簡便,迅速に評価する手法の開発が望まれている。本研究では,根の生理機能を非破壊的に評価する手法の一つとして,地上部で測定する生体電位の有効性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 無処理の'やぶきた'幼茶樹苗の電位値に較べて,根を障害処理した幼茶樹苗の電位値はより プラス側の値(0に近い値)を示す( 表1 )。
- 根の生理機能として測定した呼吸活性値(酸素電極によりO2消費速度を測定)は,電位がプラ ス側の値を示すものほど小さく,両者の相関が示唆される( 表1 )。
- 硫安濃度を変化させて処理した場合,処理する硫安濃度が高くなると電位値はプラス側に変化 し,呼吸活性も小さくなる傾向が見られる( 表2 )。
- 生体電位は茶樹根の障害状態を非破壊的に検出するためのパラメータとして有望である。
成果の活用面・留意点
- 根の生理機能を,人為的に短期的そして確実に障害させるため,極端な条件による処理を行っ ている。
- 実際に根に障害が発生している茶園等の圃場での電位計測を行い,電位が根の生理機能を非破 壊的に評価するための実用的なパラメータとなりうるかの検討をさらに行う必要がある。
- 根の生理機能については,呼吸活性以外の機能の検討も必要である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:水ストレス耐性付与のための根系制御技術の開発
- 予 算 区 分 :場内プロ,経常
- 研 究 期 間 :平成10年度(平成8~12年)
- 研究担当者:本間知夫・渡辺利通
- 発表論文等:1)茎部導管電位計測による茶樹根系への障害処理の影響の検出.
日作東海支部報,126,1998
2)茶樹根系への障害処理による生体電位変化.茶研報,第87号(別),1998