オールインワン製茶機

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要約

複数の機械を要する緑茶加工を一台で賄い、連続的に製茶できるオールインワン製 茶機を開発した。この機械では、加熱ドラムと金属ベルトの間に茶芽を挟んで、伝導加熱によ り酵素失活と乾燥を同時に短時間で行ない、フレーク状の製品を得る。

  • キーワード: 緑茶加工、連続、オールインワン、伝導加熱、酵素失活、乾燥野菜・茶試・茶利用加工部・製茶システム研
  • 連絡先:0547-45-4950
  • 部会名:野菜・茶業 総合農業(作業技術)
  • 専門:機械・作業
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

煎茶の加工工程は、蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の6工程から成り、それぞれ異な る機械が用いられているが、製茶施設の大型化・自動化と共に、機 械・設備に要する費用が増大している。一方で、ティーバッグ、缶ドリンク、食品添加物、有 用物質抽出用原料としての茶の需要が増えてきているが、これらの 用途には、茶の形状を整える必要はなく、従来法では、余分なコストがかかっている。そこで 、複数の工程を要する緑茶加工を1台で賄う新しい機械を開発し、 製茶コストの大幅削減を図る。

成果の内容・特徴

  • 開発した製茶機は、ガスバーナで加熱した回転ドラムと水蒸気排出用の穴のあいた金属ベルト で茶葉を挟み、伝導加熱により、酵素失活から乾燥(火入れも可能)までの緑茶加工のすべて を1台で賄う( 図1 )。
  • バッチ処理式の従来機と異なり、連続して製茶できるため、量の多少にかかわらず製茶できる 。
  • 処理に要する時間は、従来法の約3時間に比べ、180~270秒(メイン加熱ドラム部の通過時間 は50~70秒程度)と極めて短時間で済む( 表1 )。
  • 操作は完全自動で、ほとんど人手を要しないうえ、従来機のように複雑な制御を必要とせず、 簡単な制御器を利用できるので、計装コストも削減できる。
  • 従来の機械一式に比べて設置面積が小さく、コンパクトである。
  • 製品は、従来の煎茶の針状とは異なってフレーク状となり( 図2 )、これを破砕・粉砕して用いる。
  • 条件を選べば、外観以外は従来法と遜色のない品質の茶が得られる( 表2 )。

成果の活用面・留意点

  • ティーバッグや缶ドリンク等の新用途向けの安価な茶を作る製茶機として利用できるほか、試 験研究用の試料作成用小型製茶機としても利用できる。
  • 実用化するには、茶葉の供給機構を改善して処理能力を高め、排気再利用による熱効率の改善 を図る必要がある。
  • 実際の製茶に当たっては、原葉の性状や目的とする製品毎に、最適な温度や処理時間を検討す る必要がある。

具体的データ

図1 オールインワン製茶機の構造

図2 製品の形状

表1 乾燥実験結果(1998年11月)

表2 製品の品質(1997年二番茶)

その他

  • 研究課題名:オールインワン製茶機の開発
  • 予算区分:官民交流共同研究
  • 研究期間:平成10年度(平成8~10年)
  • 研究担当者:吉冨 均、角川 修(現四国農試)
  • 榊原吉浩([株]寺田製作所)
  • 発表論文等:オールインワン製茶機の開発(第1報)、農機学会講要、57、195~196、 1998
  • 連続式オールインワン製茶機の開発、茶研報、87(別)、150~151、1998
  • 茶製造装置、特許出願中(特願平9-370494)