茶葉及び茶園土壌中のアルミニウムの簡易蛍光定量法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

2,2'-ジヒドロキシアゾベンゼン(DHAB)を発色試薬に用いる、アルミニウム (III)のppbレベルでの目視あるいはデンシトメーターによる簡易蛍光定量法を開発した。本法 は各種茶葉及び茶園土壌中のアルミニウム含有量測定に適用できる。

  • キーワード: 2,2'-ジヒドロキシアゾベンゼン(DHAB)、アルミニウム(III)、デ ンシトメーター、各種茶葉、茶園土壌中
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶利用加工部 品質化学研究室
  • 連絡先:0547-45-4982
  • 部会名:野菜・茶業 食品
  • 専門:品質化学
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

強酸性条件下における土壌中アルミニウムの可溶化が、植生や生態系破壊の一因となってい ることから、茶園土壌中のアルミニウムの適切な管理に対する関心 が高まってきている。一方、アルミニウムは硬化した下位葉ほど含有量が多く、硬化した葉が 原料葉となりやすい下級茶ほど含有量は多くなる傾向にあり、従っ て、アルミニウム含有量から原料葉や緑茶の品質がある程度推定できることが知られている。 そこで、簡易で選択性の高いアルミニウム定量法を開発し、茶園土 壌の適切な管理及び原料葉と緑茶の品質評価に資する。

成果の内容・特徴

  • アルミニウムを含む試料溶液に、DHAB25%エタノール溶液(V/V)、0.1M 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)-水酸化ナトリウム(NaOH)緩衝溶液(pH5.5)及び塩化カル シウム溶液(5×10-4M)を加えて定容 し、室温で20分間反応した後、50μlをC-18オクタデシルシラン(ODS)修飾型プレート上へスポ ットする。20分間静置後、アルミニウム -DHABの1:1錯体が界面に濃縮されて円形の発蛍光性斑点を形成する。これをUVランプ照射 下、目視またはデンシトメーター法により蛍光定量する( 図1 )。定量範囲は目視法で1~25ppb、デンシトメーター法で3~40ppbである。
  • 開発した簡易蛍光定量法は茶園土壌中の置換性アルミニウム(III)含有量測定に適用できる( 表1 )。
  • 開発した簡易蛍光定量法は、乾式灰化して調製した各種茶葉中のアルミニウム(III)含有量測 定に適用できる( 表2 )。

成果の活用面・留意点

  • 鉄(III)、銅(II)等の共存イオンの多い試料は、80%エタノールで3分間プレートを展開し、 妨害を取り除いた後、測定を行う。約20倍の濃度まで除去が可能である。
  • 本法は高感度分析であるので、高純度試薬及びテフロン器具等を使用するなどしてアルミニウ ムの混入を極力避ける必要がある。
  • カテキン等の妨害のため直接茶葉抽出液を用いることはできない。

具体的データ

図1 スポットテスト法

表1 茶園土壌中の置換性アルミニウム含有量

表2 各種茶葉中のアルミニウム含有量

その他

  • 研究課題名:茶アルミニウムの簡易測定法及び存在形態解析法の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成10年度(平成8~10年)
  • 研究担当者:木幡勝則・堀江秀樹・金子恵美子(東北大)
  • 発表論文等:なし