傾斜地ハウスに適した養液土耕栽培システム

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要約

養液土耕システムは,給液終了と同時に排水電磁弁を開放してただちに排水するため,施肥・灌水が均一となり,傾斜地ハウスで作物を斉一に栽培できる。排水前に原水のみを一定時間給液することで,排水は原水のみとなり循環利用できる。

  • キーワード:養液土耕システム、傾斜地ハウス、循環
  • 担当:四国農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:野菜・茶業,総合研究
  • 専門:栽培管理
  • 対象:花き類・果菜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

四国傾斜地域では野菜・花きの生産性向上のため,傾斜地ハウスの開発およびその利用技術の確立が要望されている。集約性の高い園芸作物の省力的な栽 培方法として注目されている養液土耕法は少水・少肥型であるため,傾斜地域の野菜・花き栽培における灌水・施肥装置として優れている。そこで,傾斜地ハウ スにおける野菜・花きの生産性向上を図るため,傾斜地形に対応した養液土耕システムを開発しようとする。

成果の内容・特徴

  • 本システムは,制御盤,原水タンク,原水ポンプ,原液タンク,液肥混入機,供給電磁弁,ダイヤフラム式点滴チューブで構成される既存の養液土耕システム(O社製)に,集水管,排水電磁弁,排水タンクおよび循環用ポンプを配置して構成する (図1) 。
  • 給液方法は,まず原水と原液を任意の濃度に希釈して施用した後,引き続き原水のみで一定時間給液し,点滴チューブ内に残存する液肥を原水で押し出し圃場へ排出する。その後,給液終了と同時に排水弁を開放して点滴チューブ内に残存する水を重力を利用して排水タンクへ排出する (図1) 。
  • 排水弁を開放してただちに排水することで,斜面下方での点滴チューブからの漏出は解消され,傾斜地ハウス内で均一に施肥・灌水ができる (図2) 。
  • 排水は原水のみとなるため,循環用ポンプで原水タンクへ揚水して再利用する (図1) 。
  • 本システムにより,傾斜地ハウス内で野菜・花きを斉一に栽培できる (図3) 。

成果の活用面・留意点

  • 本システムは点滴チューブを傾斜方向に設置した場合に適用できる。
  • 装置本体は斜面上方に設置する。
  • 点滴チューブ末端での供給圧力が1.0~4.0kgf/cm2の範囲で使用する。

具体的データ

図1 傾斜地ハウス内における循環式養液土耕システム

図2 傾斜地ハウスにおける灌水方法と点滴チューブからの吐出量

図3 傾斜地ハウスにおける養液土耕システムによる作物の生育

その他

  • 研究課題名:低投入型野菜・花きの栽培技術の導入
  • 予算区分 :総合研究(地域総合)
  • 研究期間 :平成11年度(平成9~11年)
  • 研究担当者:川嶋浩樹,野中瑞生,長崎裕司,吉川省子
  • 発表論文等:四国傾斜地における野菜・花きの施設生産,養液土耕栽培技術研究会(四国),1999.