重粘土用耕うん畝立て作業機

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要約

本機は、異なる長さの爪により、畝の下だけを深く耕うんし、耕うん 畝立てを一工程で行う作業機である。重粘土圃場に対して、所要動力の 増加や砕土率の低下がなく、畝部の耕うん深さが拡大し、畝内部の土壌水 分を低く保つことができ、 野菜作に適した畝ができる。

  • キーワード:異なる長さの爪、耕うん、畝立て、所要動力、砕土率、耕うん深さ、土壌水分
  • 担当:北陸農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:0255-26-3235
  • 部会名:野菜・茶業総合研究、作業技術
  • 専門:機 械
  • 対象:農業機械
  • 分類:指導

背景・ねらい

全国的に水稲の生産調整が行われているが、水田の約30%は、畑作への転換が困難な重粘 な土壌である。特に北陸地域では、重粘土が広く分布しており、転 換作物として野菜を栽培する場合、砕土率の低下や湿害等が問題となる。そこで、重粘土壌の 下層まで耕うんすることにより、土壌改良や根域の拡大を図り、し かも砕土率を低下させず、湿害等を回避する耕うん畝立て技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本機は、アップカットロータリの畝間部分の耕うん爪の長さを畝部分より約7cm短くし、 中央に土が移動するように爪を取り付けた構造である。耕うんと同時に畝立てができるため、 畝表層に細かい土が集まり、野菜苗の移植に適した状態となる (図1) 。
  • 作業後の畝高さは、爪の長さが全て同じアップカットの作業機による耕うん同時畝 立てした普通畝とほぼ同じであるが、畝耕うん深さ(畝表 面から非耕うん部分までの深さ)は5~10cm深くなる。また、砕土性の良い表層部の土壌を有 効に利用するため、普通畝に比べて砕土率の低下はない (図2) 。耕うん時の所要動力は、普通畝と同程度である (表1) 。
  • 作業能率は、10a当たり1.5~2時間で、耕うんと畝立てを別工程で行うより高能率 である。また表層の砕土率は、別工程作業に比べ約20%高くなる (図2) 。
  • 畝間部分は耕深が浅く、耕うん後の土塊を畝部に移動させるため、非耕うん部分が 露出し、矩形板沈下量が少なくなり走行性が向上する (図3) 。
  • 畝内部の土壌水分は普通畝に比べて低くなり (図4) 、キャベツの収量は増加する (表1) 。

成果の活用面・留意点

  • 土壌の種類、土壌水分により作業時間や所要動力は異なる。
  • 重粘土転換畑で、通常のロータリ作業できる土壌水分であれば、作業可能である。
  • 砕土率や所要動力等は、粘土約38%のLiC土壌(細粒質班鉄型グライ低地土、液性限 界約75%、塑性限界約37%)、転換7年目のデータである。

具体的データ

図1 重粘度用耕うん畝立て作業機

図2 畝立て方法と砕土率

図3 畦間の矩形板沈下量

図4 畝立て方法と土壌水分

表1 畝の種類と特性

その他

  • 研究課題名:重粘土圃場における野菜作の作業効率向上技術の開発
  • 予算区分 :実用化促進
  • 研究期間 :平成11年度(平成10~13年)
  • 研究担当者:細川 寿、足立一日出、松﨑守夫、伊藤公一
  • 発表論文等:重粘土用耕うん畦成型装置に関する研究-装置の構造と耕うん特性-、農業機械学会第59回講演会、2000