我が国のカーネーション萎凋病菌のレースおよび体細胞和合性グループ

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要約

我が国で分離されたカ-ネション萎凋病菌はそのほとんどがレ-ス2 に属する。 また、すべての菌株が一つの体細胞和合性グル-プ(VCG)に属 する。

  • キーワード:カ-ネション萎凋病菌、レ-ス2、体細胞和合性グル-プ、VCG
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 病害研究室
  • 連絡先:059-268-4642
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:作物病害
  • 対象:花き類
  • 分類:指導

背景・ねらい

現在、カーネーション萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp. dianthi ) は世界で15のレースが知られている。しかし我が国では詳細な調査が行なわれていない。そ こで我が国で分離された本菌のレースの種類および体細胞和合性グループを明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 我が国のカーネーション萎凋病菌(主産地である長野、千葉、静岡、愛知、岐阜、兵庫、 香川の各県から分離した計30菌株)を本菌のレース判別用6 品種、すなわち'サムスプライド'、'レナ'、'サッチャー'、'パラス'、'エルシー' および'ノバダ'に接種し、導管の褐変の有無および外部病徴から 発病度0(無病徴)~5(枯死)の6段階で評価した。
  • 病原性の弱い菌株を除き、いずれの菌株も 'サムスプライド'および'レナ'に強 い病原性を示し、ついで'サッチャー'、'パラス'に病原性を示す。しかし'エルシー'、 'ノバダ'ではほとんど病原性を示さない。 (表1)
  • 判別品種に対する反応から我が国のカーネーション萎凋病菌はレース2に属し、他の レースは検出されない。
  • 体細胞和合性グループに基づく系統調査では、調査した範囲内でいずれの菌株も一 つの体細胞和合性グループに属する (表1) 。

成果の活用面・留意点

  • 本病の発生が認められた地域では、レース2抵抗性品種を出来るだけ選択する。
  • 本病ならびに萎凋細菌病防除のためには抵抗性品種のみならず、土壌伝染対策およ び種苗からの病原菌の持ち込み阻止など耕種的防除法を総合的に組み合わせる必要がある。

具体的データ

表1 カーネーション萎凋病菌のレース判別品種に対する反応

その他

  • 研究課題名:カーネーション萎ちょう病菌の発生生態の解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成11年度(平成9~11年)
  • 研究担当者:井 智史・萩原 廣
  • 発表論文等:国内から分離されたカーネーション萎凋病菌のレースおよび体細胞和合性グ ループについて,日本植物病理学会関西部会講要集86,1999