野菜、ハーブのヒアルロニダーゼ阻害活性の評価及びレモンバームにおける阻害物質

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要約

種々の野菜、ハーブのヒアルロニダーゼ(アレルギーに関与する酵素)阻害活性 を評価した。また、強い阻害活性を示したレモンバームから阻害物質としてロ ズマリン酸を単離・同定した。

  • キーワード: ヒアルロニダーゼ(アレルギーに関する酵素)阻害活性、レモンバーム、 ロズマリン酸
  • 担当:野菜・茶業試験場 生理生態部 品質解析研究室
  • 連絡先:059-268-4636
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:加工技術
  • 対象:野菜一般
  • 分類:研究

背景・ねらい

高齢化社会を迎え、健康の維持・増進に対する関心は極めて高くなっており、野菜、ハーブの 健康維持機能が注目されている。このため、炎症時の血管透過性を 増加させアレルギー反応に関与する酵素、ヒアルロニダーゼに対する野菜及びハーブの阻害活 性を評価するとともに、阻害活性の高いレモンバームのヒアルロニ ダーゼ阻害成分を単離・同定する。

成果の内容・特徴

  • 調査した46種のうち、22種の野菜及びハーブのエタノール抽出物に有意(P<0.05)なヒ アルロニダーゼ阻害活性が認められる。特に、レモンバームなどのシソ科ハーブは顕著に阻害 する (表1) 。
  • レモンバームから単離・同定したロズマリン酸の50%阻害濃度は、約200μMである (図1 、 図2) 。
  • シソ科ハーブには高濃度のロズマリン酸が含まれている(Lamaisonら、1990)ことか ら、シソ科ハーブの阻害作用にはロズマリン酸が深く関与していると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • アレルギーを低減する機能性食品としてのシソ科ハーブ類の利用、ロズマリン酸などを含有するアレルギー低減化食品の開発に応用できる。
  • 本研究で得られた評価結果の活用にあたっては、さらに動物実験によるin vivoでの評価が必要である。

具体的データ

表1 野菜及びハーブのヒアルロニダーゼ活性に与える影響

図1 レモンバームからの阻害物質の単離

図2 ロズマリン酸のヒアルロニダーゼ阻害作用

その他

  • 研究課題名:野菜に含まれる生理機能物質の探索とその評価 -シソ科ハーブ類の生
  • 体調節機能の解明-
  • 予算区分 :経常・場内プロ
  • 研究期間 :平成11年度(平成8~12年)
  • 研究担当者:一法師克成・山口優一・伊藤秀和・東 敬子・東尾久雄
  • 発表論文等:
    (1)野菜及びハーブのヒアルロニダーゼ阻害作用.日本農芸化学会誌,73(臨 時増刊),138,1999.
    (2)Evaluation of inhibitory effects of vegetables and herbs on hyaluronidase and identification of rosmarinic acid as a hyaluronidase inhibitor in lemon balm (Melissa officinalis L.). Food Sci.Technol. Res., 6(1),74-77,2000