トマト養液土耕への有機性廃棄物CSL(コーンスティープリカー)の適用
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要約
コーンスターチ製造過程で生じる有機性廃棄物であるCSLを肥料源として, 養液土耕栽培を行うことができる.収量と糖度は,化学肥料を用いた養液土耕栽培と 同程度が得られる.
- キーワード: 有機性廃棄物、養液土耕栽培
- 担当:野菜・茶業試験場・施設生産部・上席研究官,環境制御研究室
- 連絡先:72‐1647
- 部会名:野菜・茶業,総合農業
- 専門:土壌肥料
- 対象:果菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
養液土耕(灌水同時施肥法)は液肥を作物の必要量にあわせて灌水と同時に施用する方法であ り,根系へのストレスの回避,肥料の削減等の効果が期待されている. 本研究では、養液土耕で使う液肥として通常使われる専用の化学肥料の替わりに,原料トウ モロコシからコーンスターチを製造する過程で生じる有機性廃棄物であるCSLを用いる方法を 検討する.CSLは,三要素とも3%程度含まれバランスが良いという特長がある (表1) .我が国では年間約15万トンが生じ,一部が微生物培地,家畜飼料等として使用されているも のの,新たな用途が求められている素材である.
成果の内容・特徴
- 灌水施肥装置としては普及型の点滴潅がい装置を使用し,基本的には,CSLは点滴潅がい 時に180倍希釈となるようにし,1日1株当たり,窒素と して平均140mg相当量を施用する.CSL施用後直ちに水のみを流して洗うように設定すれば, 点滴装置の目詰まりは起こらない.
- CSLを唯一の三要素肥料源としてトマトの養液土耕栽培を行うことが可能である.本 栽培法(有機養液土耕)では低段の収量は低い傾向であるが,4段までの総収量では慣行土耕 及び化学肥料を用いた養液土耕(無機養液土耕)とほぼ同等となる (図1) .有機養液土耕の糖度は,通常の無機養液土耕と同等である.
成果の活用面・留意点
CSLはカルシウム含量が低いために,カルシウム分は基肥として施用しておく.
具体的データ


その他
- 研究課題名:施設野菜栽培における培地好適管理法の開発
- 根系形態制御による肥料成分の効率的利用技術の開発
- 予算区分 :経常・重点基礎(根圏認識)
- 研究期間 :平成11年度(平成8~12年)
- 研究担当者:中野明正,上原洋一
- 発表論文等:
1.有機養液土耕法の開発~未熟有機液肥の灌水同時施用によるトマト生産~,根の研究,8(4),p139,1999
2.有機養液土耕(Organic Fertigation)が土壌環境とトマトの根系発達に与える影響,園学雑 68(別2),p314,1999