ミカンキイロアザミウマの絶食、低温及び高温に対する耐性

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要約

ミカンキイロアザミウマは、低温における絶食耐性が高く、0°C以 下での低温耐性も高い。一方、40°C以上での高温耐性が低い。

  • 担当:野菜・茶業試験場 環境部 虫害研究室
  • キーワード:ミカンキイロアザミウマ、絶食耐性、低温耐性、高温耐性
  • 連絡先:059-268-4644
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:作物虫害
  • 対象:果菜類・花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ミカンキイロアザミウマは1990年にわが国での初発が確認された侵入害虫であり、イチゴ、ト マト等の果菜類、キク、ガーベラ等の花き類の重要害虫となっ ている。本種の越冬を含めた個体群動態及び物理的防除法を考えるため、低温、高温、絶食等 の環境条件に対する耐性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 5~10°Cでの絶食耐性は高く、5°Cでは20日以上生存する個体がみられる。蒸留水のみを 摂食した場合は、5°Cでは半数以上が20日間生存し、10°Cでも20日以上生存する個体がみられ る (図1) 。寄主植物のない状態でも冬期は長期の生存が可能である。
  • 0°C以下の低温による半数致死日数は、成虫、2齢幼虫とも-5°Cで約3日、-2.5 °Cで約10日、0°Cで14日以上である。低温馴化によりやや延長し、また、ミナミキイロアザミ ウマに比べ著しく長い (表1) 。本州中部等では、露地での越冬が可能である。
  • 高温での生存期間は短い。1齢幼虫は成虫に比べ高温耐性が高いが、1齢幼虫でも 42.5°Cでは150分以内、45°Cでは60分以内に全ての個体が死亡する (図2) 。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は越冬を含めた個体群動態の解明及び物理的防除法の開発に有効である。
  • 高温は本種の夏期の密度低下の重要な要因と考えられ、施設の蒸し込みは本種の管 理に有効である。

具体的データ

図1 飼育温度と生存率との関係

表4 0°C以下の低温での半数致死日数

図2 高温での生存

その他

  • 研究課題名:ミカンキイロアザミウマの防除に関する研究
  • 予算区分 :小事項
  • 研究期間 :平成11年度(平成8~10年)
  • 研究担当者:北村登史雄(久留米支場)・松井正春(農環研)・小山健二・河合 章
  • 発表論文等:
    1.ミカンキイロアザミウマFrankliniella occidentalis (Pergande)の生存への温度の影響.九病虫研会報45、1999.
    2.ミカンキイロアザミウマの栄養生理-各種温度条件下での絶食耐性.関西病虫 研報41、1999.