異なるカルシウム濃度条件下におけるトマト青枯病抵抗性の品種・系統間差異

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要約

トマト20品種系統の幼苗の青枯病抵抗性を異なる カルシウム濃度条件下で検定した場合、抵抗性が高い品種・系統では培養液カルシウ ム濃度が高い条件で抵抗性が顕著に向上する。

  • 担当:野菜・茶業試験場 環境部 土壌肥料研究室
  • キーワード:トマト、品種、系統、青枯病抵抗性、カルシウム
  • 連絡先:059-268-4645
  • 部会名:野菜・茶業、生産環境(土壌肥料)
  • 専門:肥料
  • 対象:果菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

トマト青枯病は重要土壌病害の一つで、高温期の栽培で多発し、全国的に大きな被害をもたら している。現在、抵抗性品種や台木を用いた栽培が対策として広く 行われているが、抵抗性品種・台木の罹病化が大きな問題となっており、新たな発病軽減技術 が求められている。一方、これまでに代表的なトマト青枯病抵抗性 品種について、抵抗性が高カルシウム濃度条件下で高まることを明らかにしたが、他の多くの 抵抗性品種・系統については同様の検討はなされていない。そこ で、異なるカルシウム濃度条件下でそれらの青枯病抵抗性を検定し、新たな青枯病軽減技術確 立のための基礎資料とする。

成果の内容・特徴

  • カルシウム濃度の異なる培養液[0.4, 4.4(標準), 12.4 mM Ca]を施用して栽培した青枯病抵抗性の異なる20品種・系統のトマト幼苗に対し、青枯病菌を 茎に付傷接種した場合、各品種・系統の発病ならびにそのカル シウム濃度に対する反応には明瞭な品種・系統間差異が認められる (図) 。
  • 発病程度が高い品種では、高カルシウム濃度条件下における発病指数の低下はわず かであるが、発病程度が低く、高い抵抗性が示された品種・系統では、高カルシウム濃度条件 下における発病指数の低下すなわち抵抗性の向上が共通して認められる (図) 。

成果の活用面・留意点

  • 抵抗性品種を活用したトマト青枯病総合防除技術を開発するための基礎資料となる。
  • 本成果は幼苗を用いた試験結果であり、実際の栽培レベルでの検討はなされていな い。

具体的データ

図 培養液カルシウム濃度が抵抗性の異なるトマト品種・系統の青枯病の発病に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:野菜・花きの栄養環境制御による病害軽減技術の開発およびその機構解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成11年度(平成7~11年)
  • 研究担当者:山崎浩道,菊地 直,木村 武
  • 発表論文等:培養液カルシウム濃度がトマト幼苗の青枯病抵抗性の発現に及ぼす影響.園 学雑,67巻別2,336, 1998