キク属植物の葉緑体DNA遺伝子領域のPCR-RFLPによる多型

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要約

キク属野生種および栽培種を材料とし、葉緑体DNA遺伝子領域につ いてPCR-RFLP法で分析を行ったところ、遺伝子領域3種類と制限酵素9種類の10組み合わせについて多型が認められた。

  • キーワード: キク属、葉緑体DNA遺伝子領域、PCR-RFLP法、多型
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 育種法研究室
  • 連絡先:059-268-4661
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:バイテク
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

キクは花き園芸上重要な位置を占める品目であるが、栽培種の起源や野生種の分類等がはっきりしておらず、諸説混在する状況である。しかし近年、新しい育種素材として野生種が利用されてきており、野生種の系統分化や栽培種の成立過程を明らかにすることは、育種効率を高める上で重要である。そこで、キク属植物の分類同定に適用できる葉緑体DNA遺伝子領域のPCR-RFLPマーカーを検索した。

成果の内容・特徴

  • 葉緑体遺伝子領域9種類および制限酵素33種類の合計297組み合わせにおいて、代表 的な栽培種・野生種の葉緑体DNAについて多型が得られるかどうかの検討を行ったところ、遺 伝子3領域 (表1) と制限酵素9種類からの10組み合わせにおいて多型が認められた (表2) 。
  • この10組み合わせを用いて、内外のスプレーギク16品種、輪ギク11品種、ポット マム1品種および食用ギク1品種の合計29の栽培品 種と野生種10種(各1系統)を解析したところ、野生種は種々のパターンを示したが、栽培種 は全て同じパターンで野生種と一致するものはなかった (表2) 。 (図1)

成果の活用面・留意点

  • 本法で選択されたPCR-RFLPマーカーはキク属植物にのみ利用可能である。
  • 多くの高等植物において葉緑体は母性遺伝するため、母親の推定や雑種検定にも利 用可能である。

具体的データ

表1 多型が認められた葉緑体DNAmp遺伝子領域と増幅に用いたプライマー

表2 キク栽培種および野生種の葉緑体遺伝子領域におけるPCR-RFLP分析で認められた多型

図1 葉緑体遺伝子領域のPCR-RFLP分析

その他

  • 研究課題名:DNA分析によるキク、ツバキ育種素材の分類
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成11年度(平成8~11年度)
  • 担当:研究担当 :岸本早苗・柴田道夫・間竜太郎
  • 発表論文等:キク属植物における葉緑体DNA遺伝子のPCR-RFLP分析、園学雑, 第66巻(別 2), 484-485, 1997