シクロヘキサジオン系ジベレリン生合成阻害剤によるストックの草丈及び開花調節

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要約

ストックにおいて、シクロヘキサジオン系ジベレリン生合成阻害剤 を処理することにより、花芽分化促進が可能である。処理濃度を変えることより開 花および茎伸長の調節が可能である。

  • キーワード: ストック、シクロヘキサジオン系ジベレリン生合成阻害剤、花芽分 化促進、開花、茎伸長
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 開花制御研究室
  • 連絡先:059-268-4663
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:生理
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ストックの花芽分化にはジベレリン(GA)が関与している。そこで,GA生合成後期に作用する シクロヘキサジオン系ジベレリン生合成阻害剤;トリネキサパックエチル(TNE)を供試し、 GAの生合成および代謝の調節による生育・開花調節技術の開発を目指す。

成果の内容・特徴

  • TNE処理濃度の違いにより茎伸長の調節が可能である (図1) 。低濃度処理の場合、茎伸長を促進し、高濃度処理の場合、茎伸長を抑制する。
  • TNEの低濃度処理の場合、GAの不活性化機構である2β位の水酸化が阻害され活性型 GA(GA4)濃度が高くなる。一方、高濃度処理の場合、GAの活性化機構である20位 の酸化および3β位の水酸化が阻害され、GA4濃度が低くなる (表1) 。
  • TNE処理濃度の違いにより花芽分化の調節が可能である (図2) 。

成果の活用面・留意点

  • 新しい生育・開花調節技術の開発に繋がる。
  • TNE同様,シクロヘキサジオン系ジベレリン生合成阻害剤;プロヘキサジオンカルシ ウム処理により開花調節が可能である。
  • 生育・開花とジベレリンへの感受性あるいは反応性との関係については、未解明で あるので適用には留意する。
  • 切り花品質が軟弱になる傾向があるので、高温期や茎が柔らかくなり易い品種・系 統には留意する。

具体的データ

図1 茎長に及ぼすTNE処理濃度の影響

表1 茎部の内生GA濃度に及ぼすTNE処理濃度の影響

図2 開花に及ぼすTNE処理濃度の影響

その他

    • 研究課題名 :休眠性、ロゼット性花き類の花芽形成における生理活性物質の相互作用
    • の解明・花きの生育における内生ジベレリンの役割
    • 予 算 区 分:特研[園芸作物]・経常
    • 研 究 期 間:平成11年度(平成7~12年)

研究担当者 :久松 完・腰岡政二・Lewis N. Mander(オーストラリア国立大)・Rod W. King(オーストラリア産業省)

  • 発表論文等 :
    1.Promotion of flowering in Stock by prohexadione-calcium in plastic- film greenhouse conditions.J.Japan.Soc.Hort.Sci.68:540-545, 1999.
    2.Flower promotion of Matthiola incana (L.)R.Br.by gibberellin biosynthesis inhibitory acylcyclohexanediones.Acta Hort.515:33-38,2000.
    3.The role of gibberellin biosynthesis in the control of growth and flowering in Matthiola incana (L.)R.Br.Physiol.Plant. 109:97-105, 2000.