カーネーションのエチレン受容体遺伝子(DC-ETR1)の単離と部分配列

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要約

カーネーションから単離され、塩基配列が明らかにされた新規のエチレン受容体遺伝子 (DC-ETR1 )は、花弁および茎葉で発現している。

  • キーワード:カーネーション、塩基配列、エチレン受容体遺伝子、DC-ETR1
  • 担当:野菜・茶業試験場 生理生態部 輸送貯蔵研究室
  • 連絡先:059-268-4635
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:生理
  • 対象:カーネーション
  • 分類:研究

背景・ねらい

エチレンは、多くの植物の老化や成熟を促進する作用を持つ植物ホルモンである。最近、多くの植物種からエチレン 受容体遺伝子が単離されている。エチレン受容体遺伝子は、レスポンスレギュレーターと呼ばれる部分を持つETR タイプと、それを持たないERS タイプに大別される。これまでに、カーネーションにはETRタイプのエチ レン受容体遺伝子が存在しないと結論づけた報告が知られている。そこで、その存在の有無を確認する。

成果の内容・特徴

  • 多くの植物種におけるエチレン受容体遺伝子の共通アミノ酸配列に基づいて設計したディジェネレートプライマー (表1)を用いて、RT-PCRを行い、得られたクローンの塩基配列を解析した結果、カーネーションから、すでに単離され ているDC-ERS1 , DC-ERS2 の他に、ETR タイプに特徴的な配列を持つ新規のクローンが得られた (図1)。
  • これまでに、カーネーションでETR タイプの報告は無い。この配列は、メロンやリンゴのETR1 と類似している。アミノ酸配列をもとにしたHigginsの計算法による類似性は約90%である。また、この配列とDC- ERS1 との類似性は約60%、DC-ERS2 との類似性は約70%である。
  • 本遺伝子は、花弁および茎葉で発現している (図2)。
  • これらの結果から、カーネーションにETR タイプの遺伝子が存在することを確認し、本遺伝子を、カー ネーションから単離されたETR タイプのエチレン受容体遺伝子(DC-ETR1 )の部分配列としてDDBJに登録 した。アクセションナンバーは、AB035806である。

成果の活用面・留意点

  • 本遺伝子の配列情報は、カーネーションやその他の花きおよび野菜の日持ち性あるいはエチレン感受性の解析のための基礎的知見となる。
  • 全長クローンは、現在単離中である。

具体的データ

表1 ディジェネレートプライマーの塩基配列

図1 CD-ETR1の部分塩基配列(上段)および推定アミノ酸配列(下段)

図2 DC-ETR1およびDV-ERS2の花弁と茎葉における発現

その他

  • 研究課題名:エチレン受容体遺伝子のクローニング、シークエンスおよび発現の解析
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成12年度(平成11年)
  • 研究担当者:永田雅靖・谷川奈津(花き部育種研)・小野崎隆(花き部育種研)
  • 発表論文等:カーネーションのエチレン受容体遺伝子(ETR )ホモログについて,園学雑,69(別1),407,2000.
    Partial sequence of ethylene receptor genes in carnations with different ethylene sensitivity.HortScience, 35(3), 400-401, 2000.
    Ethylene receptor gene (ETR ) homolog from carnation. DDBJ/EMBL/GenBank database accession number AB035806.