イチゴ苗に寄生するミカンキイロアザミウマの殺虫法
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要約
イチゴ苗に寄生したミカンキイロアザミウマを臭化メチルくん蒸法により防除することにより
、本虫未分布地への持ち込みを防ぐことができる。
- キーワード:イチゴ苗、ミカンキイロアザミウマ、臭化メチルくん蒸法、未分布地
- 担当:野菜・茶業試験場 久留米支場 病害虫研究室
上席研究官
栄養繁殖性野菜育種研究室
栽培生理研究室
- 連絡先:0942-43-8271
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:作物害虫
- 対象:いちご
- 分類:研究
背景・ねらい
ミカンキイロアザミウマは、野菜・花き類の重要害虫であり、イチゴは好適な寄主の一つである。沖縄県へのイチゴ栽培の導入のための地域総合研究の推進にあたって、本種が分布する本土から未分布の沖縄県へイチゴ苗を
大量に移送する必要が生じた。苗ととも
に本害虫を沖縄県に持ち込むことを防止するために、イチゴ苗に寄生するミカンキイロアザミウマを完全に殺虫する方法
を開発する。
成果の内容・特徴
- ミカンキイロアザミウマのイチゴの葉の組織内に産下された卵、1および2齢幼虫、蛹、そして雌成虫は、20、30、
40g/m3の20℃、2時間の臭化メチルくん蒸により24時間以内に死亡する
(表1)。
- ミカンキイロアザミウマの各ステージを寄生させたイチゴ苗は、20、30、40g/m3で20℃、2時間の臭化メチルくん蒸により、処理後1日以降7日後までミカンキイロアザミウマ
が完全に防除される
(表2)。
- 60g/m3以下、20℃、2時間の臭化メチルくん蒸ではイチゴ(とよのか)に
薬害は生じない
(表3)。
成果の活用面・留意点
- イチゴ苗に寄生しているミカンキイロアザミウマをくん蒸殺虫する場合、標準的な青果の臭化メチルくん蒸条件であ
る30g/m3、20℃、2時間を基準に行うが、培土に臭化メチルが吸着するおそれのあ
るため、実測濃度で20g/m3以上となるようにする。
- 研究に限り、沖縄等の害虫が未発生の離島に導入する場合に行い、臭化メチルくん蒸は専門業者に依頼して、
隔離倉庫で行う。
- 臭化メチルの40g/m3以上でくん蒸されたイチゴ(とよのか)は出蕾日及び
開花日が若干早まるが、果実生産には影響しない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:生産安定のための病害虫防除技術の確立
- 予算区分 :地域総合(亜熱帯)
- 研究期間 :平成12年度(平成10~13年度)
- 研究担当者:北村登史雄、柏尾具俊、望月龍也(九農試)、田中和夫(中国農試)、高市益行、相馬幸博(横浜植防)、川上房男(横浜植防)
- 発表論文等:イチゴ苗に寄生したミカンキイロアザミウマの臭化メチルくん蒸による消毒試験.植物防疫所調査研究報告,第37巻,2001(投稿中).