ハクサイ根こぶ病菌の病原性判別法

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要約

F1抵抗性品種'うたげ70'、'隆徳'及び罹病性品種を判別品種に用 いることにより、既存のWilliams法およびECD法では判別できなかったハクサイ根こぶ病菌病原性差異 を明らかにできる。

  • キーワード:判別品種、ハクサイ根こぶ病菌、病原性
  • 担当:野菜・茶業試験場 野菜育種部 アブラナ科育種研究室
  • 連絡先:059-268-4654
  • 部会名:野菜育種
  • 専門:育種
  • 対象:はくさい
  • 分類:研究

背景・ねらい

1970年代にハクサイなどで根こぶ病が大発生し、抵抗性品種の育成が求められ、多くの抵抗性品種が育成された。し かし、普及とともに市販抵抗性品種が罹病化する事例が各地で認められるようになった。罹病化は根こぶ病菌の病原性分 化に起因すると考えられた。しかしながら、抵抗性品種を侵す菌の病原性は、従来のWilliams法およびECD法では病原性 の差異を明確に判別できないため、新しい病原性判別法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 従来の判別法であるWilliams法およびECD法では、採取地の異なる根こぶ病菌4菌の病原性の違いは判別できない (表1)。
  • これら4菌の病原性の差異は、根こぶ病抵抗性ハクサイF1品種'うたげ 70'および'隆徳'並びに罹病性品種'無双'に接種検定することにより、判別できる (表1)or● (図1)。

成果の活用面・留意点

  • 本判別法は、日本国内の根こぶ病菌病原性の判別に有効である。
  • 本判別法を用いることで、各々の菌株に対する抵抗性遺伝子の認識に利用できる。
  • 実際の圃場では、病原性の異なる多様な菌が混在していること、病原性が未知の菌が存在する可能性があるこ となどから、本法を直ちに適用できない場合がある。

具体的データ

表1 採取地の異なる根こぶ病菌のハクサイ類に対する病原性

図1 発病程度とその発病指数

その他

  • 研究課題名:DNAマーカーを利用したハクサイ類根こぶ病抵抗性検定の確立、ハクサイ類根こぶ病抵抗性のQTL
  • 予算区分 :1.バイテク育種、2.バイテク先端技術(DNAマーカー)
  • 研究期間 :平成12年度(1.平成7~9年、2.平成10~16年)
  • 研究担当者:釘貫靖久・西畑秀次(富山県農業技術センター)・塚崎光
  • 発表論文等:Variation in virulence of Plasmodiophora brassicae in Japan tested with clubroot-resistant cultivars of Chinese cabbage (Brassica rapa L. ssp. pekinensis ). Eur. J. Plant Pathol., 105, 327-332, 1999.