カーネーション花弁に存在する新規色素

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要約

カーネーションの花弁から新規に同定された2種の色素は、環状に架橋されたマリルアントシアニ ンである。

  • キーワード:カーネーション、環状に架橋、マリルアントシアニン
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 開花制御研究室
  • 連絡先:059-268-4663
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:生理
  • 対象:カーネーション
  • 分類:研究

背景・ねらい

カーネーションの花弁においては、ペラルゴニジン 3-O-マリルグルコサイドとシアニジン 3-O-マリ ルグルコサイドに加え、その他の2種の未知アントシアニン(12)が主要アントシアニンであること が示されている。これらの未知アントシアニンの構造を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 暗桃色の‘シンフォニーローズ’と紫色の‘パヒューム’の花弁から、未知アントシアニン12を それぞれ単離し、吸光特性、FABMS、NMR を測定した (表1)。
  • カーネーションの花弁には、新規色素であるペラルゴニジン 6''-O-4, 6'''-O-1-サイクリック マレイト (m/z: 693; λmax: 265 nm, 505 nm)(1)とシアニジン 6''-O-4, 6'''-O-1-サ イクリックマレイト (m/z: 709;λmax: 275 nm, 520 nm)(2)が主要アントシアニンとして存在する (図1)。
  • 環状に架橋されたユニークな構造を有するこれらのアントシアニンをサイクリックマリルアントシアニンと呼 び、アントシアニン12をそれぞれサイクリックマリルペラルゴニジンとサイクリックマリルシアニジ ンと命名することを提案している

成果の活用面・留意点

新しいアントシアニンの構造が明らかにされ、色素成分の理解が深まったことで、新しい花色を持つカーネーションの品 種の創成に寄与できる。

具体的データ

表1 アントシアニン1と2のNMRデータ

図1 アントシアニン1と2の構造

その他

  • 研究課題名:未同定色素の分子構造の解析
  • 予算区分 :組換え・クローン研究
  • 研究期間 :平成12年度 (平成12~14年)
  • 研究担当者:中山真義・腰岡政二・山口雅篤(南九州大学)
  • 発表論文等:Cyclic malyl anthocyanins in Dianthus caryophyllus . Phytochemistry, 55 (8):937-939,2000.