トルコギキョウのロゼット性の簡易検定法

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要約

育苗期の高温により発現するトルコギキョウロゼット性の程度は、たん水および日 最低気温25℃以上の高温条件で栽培し、ロゼット化率を相対評価することにより判定できる。

  • キーワード:育苗、高温、トルコギキョウ、ロゼット性
  • 担当:野菜・茶業試験場 久留米支場 花き研究室
  • 連絡先:0942-43-8271
  • 部会名:野菜・茶業、九州農業 野菜・花き
  • 専門:生態
  • 対象:トルコギキョウ
  • 分類:研究

背景・ねらい

トルコギキョウには、幼苗期に高温にあうとロゼット化して開花が遅延する品種が多い。このため、生産にあたって は品種のロゼット性に関する特性を知ることが重要である。しかし、通常の栽培方法における検定では広い面積を要する うえ、好適土壌環境の維持等にも細心の注意が必要であり、正確な判定は容易ではない。そこで、これらの課題に対応し た検定法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 種子を散播した鉢を、水または液肥を溜めた浅いプールの中に置き (図1)、ロゼット化を起こす高温条件(日最低気温25℃以上)で栽培する。数回に分けて間引き、適正な密度(直径 13cmの鉢で約30個体。1個体当たりの面積は地植えの約1/10)にする。
  • 節間伸長の開始の遅い品種が伸長した時点(播種後約100日)でロゼット化率を調査し、基準とする品種のそれ と比較して、ロゼット性の強弱を判断する。
  • 検定の再現性は高い (図2)。栽培環境や判定基準などが異なると、ロゼット化率は変化するが、品種間の相対順位は安定している (図3)。
  • 慣行の地植えに比べ新検定法のほうがロゼット化率は若干低く現れるが、品種間の相対順位はおおむね安定し ている (図4)。

成果の活用面・留意点

  • 初期生育の遅速とロゼット性の強弱は無関係であるが、なるべく無作為に間引く。
  • たん水による根の障害は、播種から約4ヶ月間は発生しないが、発蕾期以降は発生しやすくなるため、たん水 を終了する。

具体的データ

図1 ロゼット性検定のための栽培方法

図2 反復間のロゼット化率の違い

図3 異なる年次における検定結果

図4 新検定法と慣行とによる検定結果の比較

その他

  • 研究課題名:暖地における宿根性切り花の不良環境耐性育種
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成12年度(平成8~14年)
  • 研究担当者:今村 仁・須藤憲一
  • 発表論文等:トルコギキョウのロゼット性の検定時期.九農研,60,182,1998
    トルコギキョウのロゼット化と秋冬季の開花に関する検定.園学雑,69(別2),465,2000.