茶樹の幼木と成木における木化根形態的特性の品種間差異

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要約

木化根に特徴のある茶樹4品種について、さし木苗と成木(19、28、37年生)で木化根の太さ別 発生本数を比較した結果、3年生さし木苗で認められる木化根の特徴は成木でも確認され、さし木苗で根系 選抜できる可能性がある。

  • キーワード:木化根、茶樹、さし木苗、根系、選抜
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶栽培部 生理遺伝研究室
  • 連絡先:0547ー45ー4101
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:栽培
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

茶樹木化根の太さ別発生本数、太さ別分布、分枝の発生程度や伸長方向などの特性は、根系の構造を決定する根本で あり、現在問題になっている吸肥効率の高い根系を考える上でも重要な特性である。ところが、上記のような根系の基本 構造が「選抜可能」な特性で幼木と成木との間で対応関係があるかどうかは確認されていない。この研究では、さし木苗 の幼木木化根で見いだされる品種間差異が、樹齢の異なる成木でも認められるのか明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 3年生さし木苗の木化根では、'ゆたかみどり'と'はつもみじ'には太めの根が多く、'めいりょく'では細い木 化根が多数生じ、'やぶきた'は中庸の品種である。 (図1)
  • これらの特徴的品種について、樹齢の異なる成木抜き取り株(19、28、37年生、各品種10株以上を調査)で木化根の特 徴を調べたところ、'ゆ たかみどり'と'はつもみじ'では太い直径の木化根が主体の品種で、'めいりょく'は細い木化根が多数生じる特徴を 持ち、'やぶきた'は比較的太めで分枝 の少ない長めの木化根を持つ特徴がある。また、これらの特徴的品種では、樹齢と植付密度によらず上記の特徴的な差異 が認められる (表1、 表2、 表3) 特徴ある根系を持った茶樹品種は、3年生の挿し木苗の根系の特徴をもとに選抜が可能であると考えられる。

成果の活用面・留意点

根系に特徴を持つ茶樹品種を、さし木苗の段階で選抜できる可能性があるが、微細な品種間差異は、個体差のため判別で きない恐れがある。

具体的データ

図1 3年生さし木根における根の太さ断面面積

表1 定植19年後の抜き取り株における調査結果

表2 定植28年後の抜き取り株の調査結果

表3 定植37年後の抜き取り株における調査結果

その他

  • 研究課題名:茶樹の根系構造と樹体生理機能との関係解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成12年度(平成10年~12年)
  • 研究担当者:松尾喜義
  • 発表論文等:茶樹木化根形態的特性の品種間差異における老齢茶樹と幼茶樹での対応関係について.根の研究,9(4),207,2000.