チャ'やぶきた'冬芽の暖地における休眠モデルの作成

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

暖地における‘やぶきた’冬芽休眠は、日長の影響を強く受けて推移する。休眠予 測からみた一番茶の萌芽の揃いが良くなるかどうかの境界は、種子島名瀬の間に存在する。

  • キーワード:暖地、‘やぶきた’冬芽、休眠、日長、萌芽の揃い、種子島、名瀬
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶栽培部 暖地茶樹育種研究室
  • 連絡先:0993-76-2126
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:栽培
  • 対象:茶
  • 分類:研 究

背景・ねらい

沖縄等南西諸島においては、一番茶の萌芽が不揃いになり、低収と製茶品質の低下が問題となっている。その原因と して冬季の休眠程度が浅いことが考えられることから、チャの休眠特性を明らかにすることは育種上重要である。そこで 、‘やぶきた’を供試し、日長と平均気温をパラメーターとして休眠程度を推定するためのモデルを作成する。

成果の内容・特徴

  • ‘やぶきた’冬芽の休眠程度は、12月初旬から中旬にかけて急速に深まり、そのまま安定した状態で経過した後、2 月初旬から中下旬にかけて徐々に浅くなり、3月下旬に萌芽する (図1)。
  • 休眠の程度を、切り枝で25℃、14時間日長条件下での萌芽所要日数を指標に求めると、枕崎での休眠は、冬至 前と後の日長と非常に高い負の相関関係が認められる (表1)。
  • 平均気温と日長を説明変数に用いることにより、休眠入期の休眠程度はaT+bD+cで、また休眠脱期の休眠程度は dT+eD+f(T: 日平均気温℃、D: 日長時間)で推定できる。
  • ‘やぶきた’での一番茶の萌芽の揃いの良さの目安となる萌芽所要日数7日の境界は、種子島と名瀬の間に存 在すると推定される (図2)。

成果の活用面・留意点

  • 南西諸島等亜熱帯で‘やぶきた’の休眠程度の予測の参考資料となる。また年次変動要因を解析する参考資料となる 。
  • 本成果は‘やぶきた’を用いて得られたものであり、他の品種では同様の検討を行う必要がある。

具体的データ

図1 休眠程度の推移

表1 休眠程度と気象要因の相関関係

図2 日本南西諸島におけるチャの休眠予測

その他

  • 研究課題名:品種・系統の休眠特性の解明と育種への利用技術の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成12年度(平成9年~12年)
  • 研究担当者:大前英・武田善行
  • 発表論文等:暖地向きチャの休眠モデルの作成と休眠予測,熱帯農業,44巻別2号,89-90,2000.チャ成葉の耐凍性と休眠との関係および休眠予測.茶業研究報告,NO.90別冊,80-81,2000.