植物葉の硬さ測定器の開発とチャ新葉硬化特性の解明

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要約

植物葉打ち抜き抵抗測定器を開発した。これを用いて測定したチャ新葉硬化の推移積 算日射量を独立変数とするロジスティック曲線によく適合する。ロジスティック曲線のパラメーターから、 いくつかの品種について、新葉硬化パターンの特徴を明らかにすることができる。

  • キーワード:植物葉打ち抜き抵抗測定器、チャ新葉、硬化の推移、積算日射量、ロジスティック曲線、品種、新葉硬 化パターン
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶栽培部 作業技術研究室
  • 連絡先:0547-45-4654
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:栽培
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

チャの新葉の硬化度は摘採適期や品質を左右する重要な特性であるが、これまで簡便な測定器がなく、硬化度の推移 の調査は困難であった。このために、簡便な葉の硬化度の測定器を開発し、新葉の硬化度推移パターンのモデル化を図る とともに、数品種について新葉の硬化特性を比較検討する。

成果の内容・特徴

  • 葉の硬化度を計測する機器を開発した。本機は葉を直径2mmの円柱状のピンで打ち抜くのに必要な力を測定する方式 であり、測定部、操作部、メモリ部で構成されている。同時に、測定値をパソコンに転送するプログラムを作成した (写真1)。
  • 打ち抜き抵抗値(硬化度)は中肋、側脈、葉肉部で異なるが、同一葉内の葉肉部についてみれば、先端部と基部 のわずかな部分を除いてほぼ同じである。
  • 新葉の硬化の推移はロジスティック曲線で近似でき、独立変数として開葉後測定までの積算日射量を用いれば 良い (図1)。
  • 品種の新葉硬化度の推移の特徴を比較すると、'おくゆたか'は早く硬化が始まるがその後の硬化の進行は遅 く、'さやまかおり'は硬化開始時期は遅いが、その後急速に硬化が進み、'さやまみどり''まきのはらわせ'は'や ぶきた'と類似した硬化パターンを示すことがわかった (図2)。

成果の活用面・留意点

  • 生葉評価の1手法として活用できる可能性がある。
  • 品種普及において新葉硬化特性を注意事項として付記できる。
  • 試作品であるので、さらなる改良(軽量化、インテリジェント化)と低価格化が必要である。
  • 葉菜類の葉の硬さの測定・評価にも利用可能である。

具体的データ

写真1 植物葉打ち抜き抵抗測定器と測定の様子

図1 積算日射量と硬化度との関係(やぶきた、1999)

図2 パラメータBとCによる品種分類パラメーター

その他

  • 研究課題名:植物葉打ち抜き抵抗測定器の開発とその利用技術
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成12年度(平成8~12年)
  • 研究担当者:渡辺利通・荒木琢也・宮崎昌宏
  • 発表論文等:打ち抜き抵抗測定器の開発と硬化度の葉内変異.茶研報,84(別),10-11,1996.
    チャ新芽の硬化に関与する気象要因と年次間変動.日農気全国大会講演要旨,270,2000.
    チャ新芽硬化パターンの品種間差異.茶研報,90(別),88-89,2000.