茶園の生育量分布計測システム
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
レールを敷設した茶園内を自動走行し、搭載した超音波センサにより茶芽の生育量を計測、デ ータを無線LANで解析PCに送ることで生育分布を解析・可視化できるシステムを開発した。これにより茶園内の 生育量分布が自動的にかつ的確に得られ、継続的計測により生育量分布の時間的変動も得られる。
- キーワード:茶園、自動走行、超音波センサ、生育量分布、時間的変動
- 担当:野菜・茶業試験場・茶利用加工部・製茶システム研究室
- 連絡先:0547-45-4950
- 部会名:野菜・茶業、作業技術
- 専門:機械・作業
- 対象:茶
- 分類:研究
背景・ねらい
圃場内の茶樹の生育が均一と仮定して肥料等を一様に散布する従来の管理に対して、生育のばらつきに応じて適切な 管理を行う精密管理体系を実現するためには、生育のばらつきを的確に把握するシステムが必要となる。従来、生育量の 計測は数カ所の枠摘みの平均値から圃場内の代表値を求める手法であった。しかし、これはばらつきの情報を積極的に利 用する精密管理体系にとっては不十分な計測手法である。そこで、圃場内を自動走行し、搭載した超音波センサで生育分 布を計測し、かつ、データの収集・整理を自動で行う計測システムを開発する。
成果の内容・特徴
- 茶園に敷設したレール上をモータを動力として自走する台車に、超音波センサ、位置検出センサ、モータコントロー ラ、プログラマブルコントローラ、無線装置、これらを制御するコンピュータを搭載する (図1a)。
- センサからの計測値は制御プログラムにより自動で収集される。超音波センサの計測位置の調整や畝端での機 体の停止等、計測に関わる動作 は制御プログラムによりすべて自動制御される。計測データは無線によりデータを解析・管理するコンピュータに転送さ れ、メッシュデータに整理される (図1b)。
- 圃場全面の計測により生育量分布がメッシュマップとして得られる (図2)。また、非接触・非破壊計測であるため、継続的に計測することで生育量分布の時間的変動も得られる。なお、 生育量とは樹冠面上に伸長している新芽の重量を意味する。
- 生育量の計測には超音波距離計を応用したセンサを用いている。センサは樹冠面の上方に位置し、生育に伴う 樹冠面高さの変位から茶芽の量を推定する。実際に茶芽を摘取り検証したところ、センサ出力と生育量の間には高い相関 が認められる (図3)。
- データを解析・蓄積するコンピュータでは、計測データから必要とする情報を抽出し、メッシュマップとして 可視化する、GUIプログラムが動作する。これにより任意のメッシュサイズでの表示や異なる計測日のデータの比較が容 易に行える (図4)。
成果の活用面・留意点
- 今後、茶園における精密農業の研究を進める上で、生育分布を的確に把握するための計測手法として活用できる。
- 本システムの台車、制御システムおよびデータ解析プログラムを利用すると、超音波センサ以外の手法による 計測にも応用できる。
- 利用場面はレール敷設茶園に限定される。
具体的データ




その他
- 研究課題名:生体・環境情報に基づく茶園管理システムの開発
- 予算区分 :作物対応研究「軽労化農業」
- 研究期間 :平成12年度(平成12年~14年)
- 研究担当者:深山大介・吉冨 均
- 発表論文等:茶園における生育量分布計測センサ.農機学会講要,60,453-454,2001.