近紫外線除去ビニルフィルム下での寄生蜂によるコナジラミ類の防除

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要約

近紫外線除去ビニルフィルム下ではオンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチの分散行動は抑制される。しかし、寄生率は一般農業用ビニルフィルム下と変わらず、オンシツツヤコバチはオンシツコナジラミを、サバクツヤコバチはシルバーリーフコナジラミを有効に防除する。

  • キーワード:近紫外線除去ビニルフィルム、トマト、コナジラミ類、オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、天敵
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・虫害研究室
  • 連絡先:059-268-4644
  • 区分:野菜茶業・野菜生産環境
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

近紫外線除去ビニルフィルムで被覆した施設では各種害虫の侵入数や菌核病等の病害の発生量が少ない。また、コナジラミ類に対する寄生蜂の防除効果は優れ、これらは病害虫の総合管理の重要な素材である。一方、近紫外線除去ビニルフィルム下ではミツバチが飛翔しないなど、近紫外線除去は昆虫の行動に影響する。そこで、近紫外線除去ビニルフィルム下での寄生蜂の行動を調べ、効率的な使用法を解明する。

成果の内容・特徴

  • 近紫外線除去ビニルフィルム下ではオンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチの分散行動は抑制され、放飼株付近に残る傾向が強い(図1、表1)。
  • オンシツコナジラミに対してオンシツツヤコバチを、シルバーリーフコナジラミに対してサバクツヤコバチを放飼すると、現行の放飼方法では分散が抑制される近紫外線除去ビニルフィルム下でも、寄生蜂はハウス全体に分散する。このため、近紫外線除去ビニルフィルム下でも一般農業用ビニルフィルム下と同様に寄生率は上昇する。コナジラミ類の成虫密度、幼虫密度も両ビニル下で差はなく、被害の出ない水準で推移する(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 他の病害虫防除には適切な防除手段を併用する。

具体的データ

図1.飼育3日後の寄生蜂成虫の分散

第1表.飼育3日後の分布から計算した平均移動距離

図2.近紫外線除去ビニルフィルム下での寄生蜂の効果

その他

  • 研究課題名:紫外線カットフィルムと寄生蜂の複合利用を核としたコナジラミ類等害虫の総合防除技術の確立
  • 予算区分:IPM
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:河合 章
  • 発表論文等:1)河合 (2000) 応動昆44回大会講演要旨:12.