対話型製茶工程診断エキスパートシステム

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要約

本システムは、インターネットから利用できる製茶工程診断システムで、荒茶の欠陥からその原因を推定できる。ユーザーの事情に合わせて、一括診断、対話診断、解析診断の3通りの診断法が選択でき、対話診断や解析診断では、原因の絞込みが可能である。

  • キーワード:製茶、診断、エキスパートシステム、インターネット、対話型
  • 担当:野菜茶研・茶業研究部・製茶システム研究室
  • 連絡先:0547-45-4950
  • 区分:野菜茶業・茶業、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

茶の審査は、煎茶や玉露等の場合、形状、色沢、香気、水色、滋味の5項目について行われ、欠陥のあるものは審査用語に照らしてコメントが付けられる。このコメントからその原因を推定することは、豊富な経験を持つ熟練者でないと難しいが、製茶工程等を見直して、より高品質の茶を作る上で極めて重要である。本システムは、熟練者に代わって製品の欠陥からその原因を推定する診断型エキスパートシステムであり、既発表(平成10年度成果情報)の一括診断機能に加え、今回新たに開発した対話診断、解析診断を含めて、3通りの診断法が選択でき、対話診断や解析診断では、原因の絞込みが可能である。これらは、茶の製造現場からも利用しやすいよう、インターネットを通して提供することで、高品質茶の生産に役立てる。

成果の内容・特徴

  • 荒茶の審査の際に指摘される欠陥から、原葉や製茶工程における欠陥の原因を推定して表示するとともに、その対処法を示す診断型エキスパートシステムである。
  • システムは、ファジィ推論を行なう推論エンジン(Prologで作成)、インターネット用CGI(Perlで作成)、それらのプログラムの制御やデータ解析を行なう部分(Cで作成)から成り、図1のような構造である。
  • システムには、インターネットから汎用ブラウザを用いてアクセスでき、ユーザーの希望、熟練度、製茶機械に合わせて、3種類の診断法が選択できる。
  • 欠陥の入力は、審査用語の一覧から該当するものにチェックするだけでよく(図2)、必要に応じて用語の説明も参照することができる。
  • 一括診断では、欠陥入力後に診断ボタンを押すと直ちに結果が表示される。可能性のある原因がすべて表示されるが、可能性の高さも表示されるので、これを参考に原因を絞り込むことができる。
  • 対話診断では、最初の診断で候補に挙がった原因に関して、システムから質問が表示される。これに対話的に答えていくことにより、原因が絞り込まれ、最終結果では、かなり確度の高い原因だけが表示されるので、原因の特定がし易い(図3、図4)。
  • 解析診断では、FA製茶施設などでコンピュータが作成した電子製茶記録を利用して診断を行う。診断時に製茶記録ファイルをアップロードすれば、システムがその内容を解析して、原因の絞込みを行い、確度の高い原因だけが表示される。電子製茶記録を利用できることが前提となるが、絞込みが自動的に行なえる利点がある。
  • 必要に応じて、対策などを含んだ詳細な説明や推論過程を表示させることができる。

成果の活用面・留意点

  • 製茶施設等において、製茶工程を改善し、品質向上を図る際に利用できる。
  • システムには、野菜茶業研究所(金谷)のホームページからアクセスできる(予定)が、保守とセキュリティの点から、当面は製茶時期を中心に、時間を限定して公開する。

具体的データ

図1 システムの構造

図2 審査結果入力 図3 絞込み 図4 診断結果

その他

  • 研究課題名:製茶工程のエキスパート制御システムの開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:吉冨 均、山口優一、澤井祐典
  • 発表論文等:1)吉冨(1999)第58回農機学会講要:311-312
    2)吉冨(2001)第60回農機学会講要:129-130