茶葉中エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート含量の変動要因

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要約

抗アレルギー物質であるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3"Me)は'べにほまれ'とその後代('べにふうき'等)の二番茶以降の茶葉に多く含まれ、包種茶(弱発酵茶)に製造すると高含量が維持される。

  • キーワード:抗アレルギー物質、エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート、べにふうき
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・茶機能解析研究室
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

社会問題化しているアレルギー疾患に対して、食品中からの抗アレルギー物質の探索が強く求められている現状にある。そこで、茶葉中から見出された抗アレルギー物質であるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3"Me;図1)を有効に利用するため、品種、茶期、茶種による含量変動を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 一番茶の茶葉中のEGCG"Meの含量は、'べにほまれ'とその後代('べにふうき'等)で高く、次いで'おくみどり'、'大葉烏龍'、'青心大パン'で高い(図2)。
  • 'べにほまれ'茶葉でのEGCG3"Me含量は一番茶で最も低く、二番茶以降増大する(図3)。
  • 'べにほまれ'茶葉で緑茶、包種茶(弱発酵茶)、紅茶を製造した場合、EGCG3"Me含量は紅茶(強発酵処理)で激減する(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 抗アレルギー物質であるEGCG3"Meを多く含む品種の茶は、抗アレルギー性を有した機能性素材として利用可能である。
  • このような品種は、機能性素材として有効に利用するためには、二番茶以降の茶葉を緑茶もしくは包種茶に製造する必要がある。

具体的データ

図1 EGCG3"Meの化学構造式 図2  EGCG3

図3  'べにほまれ'中EGCG3 図4 'べにほまれ'中EGCG3

その他

  • 研究課題名:茶葉中抗アレルギー成分の利用技術の開発
  • 予算区分:生研機構
  • 研究期間:2001 ~2005 年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、佐野満昭(静岡県立大)、宮瀬敏男(静岡県立大)、川本恵子(生研機構)
  • 発表論文等:1)山本(前田)ら (2001) 日本食品科学工学会誌 48(1): 64-68.
    2)Sano et al. (2001) Analyst 126: 816-820.