底面給水によるキャベツセル成型苗の黒すす病蔓延抑制

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要約

キャベツ苗に黒すす病菌を接種して底面給水すると頭上灌水に比べて本病の病徴発現や伝染が抑えられる。

  • キーワード:キャベツセル成型苗、黒すす病、底面給水、防除
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・病害研究室
  • 連絡先:059-268-4641
  • 区分:野菜茶業・野菜生産環境
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

急速に普及しているキャベツのセル成型育苗では黒すす病による被害が大きく、早急な対策が必要である。本研究では、苗の品質という面からも注目されている底面給水による灌水が黒すす病の発生に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 播種約1週間後のキャベツのセル成型苗に黒すす病菌の分生子懸濁液を噴霧接種して温室内で自然乾燥した後、2週間育苗を続けた場合、底面給水した株では頭上灌水と比較して病徴の発現が抑えられる(図1)。
  • 播種約1週間後のキャベツのセル成型苗に黒すす病菌の分生子懸濁液を噴霧接種して一晩25℃の湿室に保ち、病原菌の感染を成立させた後、温室内で2週間育苗した場合には、接種直後に乾燥させた場合ほど顕著ではないが、頭上灌水と比較して底面給水した株の病徴の進展がやや抑えられる(図2)。
  • 播種約1週間後のキャベツセル成型苗のトレイ(128株)内部の4株ずつ2箇所に、黒すす病菌の分生子懸濁液を噴霧接種して2週間育苗を続けた場合、頭上灌水したトレイでは多くの非接種株にも黒すす病が伝染するが、底面給水した場合には伝染がほとんど認められない(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 地上部に発生する他の病害についても底面給水による病害抑制が期待できるが、土壌伝染性病害に対する影響は不明である。
  • 黒すす病菌に汚染された種子から底面給水と頭上灌水で発芽させた苗においては、黒すす病の初期発生に差が認められない。

具体的データ

図1.キャベツ苗に黒すす病菌を接種した後、底面給水または頭上灌水で栽培した後に現れた病徴

 

図2.キャベツ苗に黒すす病菌を接種して一晩湿室に保った後、底面給水または頭上灌水で栽培した後に現れた病徴

 

図3.1トレイ当たり8株のキャベツセル成型苗に黒すす病菌を接種した後、底面給水給水または頭上灌水で栽培した後に、非接種株に現れた病徴

 

 

その他

  • 研究課題名:野菜のセル成型苗における病害防除技術
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2002年度
  • 研究担当者:窪田昌春、我孫子和雄