ナスの果形、果色、茎色、ヘタ色と連鎖するDNAマーカー
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要約
RAPDおよびAFLP解析により作成された連鎖地図は全長779.2cM・21連鎖群からなり、開発されたDNAマーカーは有用形質である果形、果色、茎色、ヘタ色と連鎖する。
- キーワード:ナス・DNAマーカー・連鎖地図・果形・着色形質
- 担当:野菜茶研・機能解析部・育種工学研究室
- 連絡先:059-268-4651
- 区分:野菜茶業・野菜育種
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
野菜の育種目標は多岐にわたり、複数の優良形質を集積することが求められている。有用形質と連鎖するDNAマーカーを見出すことができれば、育種年限の短縮や形質の蓄積を効率よく行うことができる。しかしナスは、他のナス科野菜に比べて連鎖地図の作成やDNAマーカーの開発が遅れており、その開発が求められている。そこで、ナスのDNAマーカーの開発に着手し有用形質との連鎖を検索する。
成果の内容・特徴
- RAPDおよびAFLP解析により作成されたナスの連鎖地図は、88のRAPDマーカー、93のAFLPマーカーからなる全長779.2cM・21連鎖群で構成される(図1)。
- 見出されたDNAマーカーは種内の多型性を検出しており、広範囲に適用可能である。
- QTL解析により見出されたマーカーは、有用形質であるナスの果形、果色、茎色、ヘタ色と連鎖する(図2、表1)。'ナス中間母本農1号'と'WCGR112-8'とのF2集団を用いた解析では、wAEM53aマーカーが検出されず、eUBC242マーカーが検出される系統の約4割が中長形の果実をつける(図2)。また、eAEM26bマーカーおよびeAEM64aマーカーが検出されない系統は、緑または赤紫の果色を示し、約5割強の系統が緑色の茎色を示す。
成果の活用面・留意点
- 作成された連鎖地図はナスの有用形質と連鎖するDNAマーカーの探索に有効である。
- RAPDおよびAFLPマーカーは優性マーカーであり、育種選抜に用いるためには特異的なプライマーを設計するなどの検討も必要である。
- ナスの果形および発色形質と連鎖するDNAマーカーは、より簡便・迅速に育種選抜に用いるためには特異的なプライマーセットを設計し、PCRマーカー化するなどの検討も必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:ナスの連鎖地図作成
- 予算区分:イネゲノム(DNAマーカー)
- 研究期間:1998~2000年度
- 研究担当者:布目司、吉田建実、平井正志
- 発表論文等:Nunome et al. (2001) Breeding Sci. 51:19-26.