チャ品種'やぶきた'側芽内の幼葉発達

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要約

チャ品種'やぶきた'側芽内の幼葉発達は、日平均気温、日長時間と開葉数から推定できる。

  • キーワード:チャ、側芽、幼葉発達、日平均気温、日長時間、開葉数
  • 担当:野菜茶研・茶業研究部・育種素材開発チーム
  • 連絡先:0993-76-2126
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

チャの側芽は、茶期の開始を規定する重要な要因であり、側芽の発達を推定することは、茶の摘採期を予測、ひいてはチャの年間生産計画を立てる上で極めて重要である。
このためチャ第1側芽内の幼葉発達と気象要因との関係を求め、日々の気象要因から幼葉発達を推定する方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 芽内の幼葉発達を表す指標として、鱗片葉を含めた開葉数に側芽内の幼葉数を加えた全葉数を用いると、'やぶきた'第1側芽の全葉数は、12月中旬から3月初旬の休眠期を除くすべての茶期において、ほぼ直線的に増加する(図1)。
  • 日平均気温および日長時間の両方を説明変数とするaT+bD-c{T:日平均気温、D:日長時間、a,b,c:パラメータ値(a=0.00624, b=0.01592, c=0.2100)、標準誤差0.4113}の式を用いて、各茶期における第1側芽全葉数の1日の増加程度を良く推定することができる(図2)。推定式に日長時間を加えることによって、日平均気温のみを説明変数に用いるよりも、特に一番茶期の休眠後期における推定精度が向上する。

成果の活用面・留意点

  • ある日の全葉数を求めるためは、あらかじめそれぞれの茶期開始時における全葉数を実測により求め、開始時からの日々の増加程度を推定式により求めた上で、それらを積算する必要がある。
  • 今回開発した幼葉発達の推定式は、開葉時期の幼葉数を前もって計測することにより、開葉期予測へと発展させることができる。また出開き時の幼葉数および開葉後の葉の展開予測を組み合わせることによって、出開き時期を基準とした摘採期予測へと応用できる。

具体的データ

図1 各茶期における葉数の推移

図2 各茶期全葉数における推定値と実測値の推移

その他

  • 研究課題名:早生、品質および収量を決定する遺伝的、栽培的要因の解明
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:大前英、武田善行
  • 発表論文等:1)大前・武田(2000)日作紀69(別2):224-225
    2)Omae et al.(2001)Proceedings of 2001 International Conference on
    O-CHA (tea) Culture and Science, Japan2:46-49