非接触・非破壊方式による茶生葉の窒素・NDF評価装置

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要約

開発した茶生葉評価装置は、製茶施設に持込まれる茶生葉の窒素・中性デタージェント繊維(NDF)含量を、非接触・非破壊で連続的に計測する。分散した茶園から持込まれる多数の茶生葉を省力的に評価することができる。

  • キーワード:茶葉、非接触・非破壊計測、生葉評価、窒素、NDF
  • 担当:野菜茶研・茶業研究部・作業技術研、製茶システム研
  • 連絡先:電話0547-45-4654、電子メールdai@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

茶生葉の窒素および中性デタージェント繊維(NDF)含量は、茶の味や外観に大きく影響することが知られ、共同製茶施設では、品質維持のため、多数のロットの中から同品質のものを組み合わせて製茶する。そのため、茶生葉を熟練者の官能評価に頼らず、客観的に評価する手法が強く求められている。近年、茶生葉の窒素・NDFを分析する試みもなされているが、サンプルの前処理に手間がかかり、小規模分散茶園から持ち込まれる多数のロットを全て評価することは困難である。また、分析量が極少量であり、分析値をロット全体の指標とすることにも問題がある。そこで、比較的まとまった量の茶生葉の窒素・NDFを非接触・非破壊で迅速にかつ客観的に把握できる評価装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 茶生葉評価装置(図1)は、製茶施設に設置され、持込まれた各ロットから約1kgの茶生葉をサンプリングし、装置内部のベルトコンベアにより移送される間に、分光計測器により非接触・非破壊で全窒素・NDF含量を計測する。
  • 本装置へ投入された茶生葉は、分光計測器から茶葉面までの距離を一定とするため、均平部でベルトコンベア上での高さを均一にされる。測定部を通過した茶生葉は、攪拌・反転部で滞留する。全量が測定部を通過した後、ベルトコンベアが反転し、茶生葉は再度測定部を通過する(図2)。
  • 茶葉が計測部を通過する間は、分光計測器により連続的に計測を行う。分光計測器は、茶生葉表面での反射光の可視~近赤外領域4波長を利用し、茶葉面の上方140mmから直径約50mmの領域を計測する。また、装置内部の温度・湿度および計測器の温度により出力値を補償する。
  • 品種「やぶきた」を対象とした計測精度は、1・2番茶期を通して、窒素含量が決定係数0.88、推定誤差(R.M.S.)0.26%と高い精度を有する(図3)。NDF含量も決定係数0.92、推定誤差(R.M.S.)0.97と、同様に高い精度を有する(図4)。
  • 利用者は、磁気カードでサンプルを登録した後、茶葉を投入するだけであり、煩雑な前処理や操作を必要としない。

成果の活用面・留意点

  • 約1kgの茶葉を計測できるため、よりロット全体の評価の指標となる。
  • 検量線は、品種ごと、茶期ごとにメーカーが用意し、管理する。本装置は含水率の計測には適用できない。
  • 製茶施設の茶葉搬送コンベアに取り付ける等の構造変更により、持ち込まれた茶生葉全量を計測することも可能である。
  • 製茶機械メーカにより製品化されている。

具体的データ

図1 製品化された茶生葉評価装置

図2 茶生葉評価装置の内部構造

 

図3 全窒素含量の計測精度

図4 NDF 含量の計測精度

その他

  • 研究課題名:オンライン生葉評価システムの開発(共同研究)
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1999-2001年度
  • 研究担当者:深山大介、宮崎昌宏、荒木琢也、吉冨 均、中山 循(株式会社寺田製作所)
  • 発表論文等:1)深山(2001)研究ジャーナル 24(6):26-31